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遊◎機械/全自動シアター THE LAST SHOW

クラブ オブ アリス

THE CLUB OF ALICE



ストーリー展開、場面を最初から最後まで説明しています。舞台を未見の方で知りたくない方はこの先を読まないでください。
詳細を読みたくない方は…戻る

●内容の詳細とわたしの感想です。内容説明はあくまでも舞台を観たわたしの印象と記憶と解釈によるものです。実際の脚本や演出の意図とは異なるかもしれません。その点をご了承のうえお読みください。ご意見ご感想(苦情でも)がありましたらメールにてお願いします。間違ってることを書いてたらぜひぜひ教えてくださいね!
●参考資料:パンフレット、『クラブ オブ アリス』台本(著者:高泉淳子、発行:遊機械オフィス)
●役名、場面名および一部の台詞は台本より引用させていただきました。

客席に入ると、真ん中に一見工事現場のような廃屋のような、鉄骨で組まれた3階建てのセット。ステージを取り囲む円形に組まれた客席。青山円形劇場の特色をフルに活かしたステージ設営となっています。役者さんの登場は客席扉から。
セットはちょっといびつな5角形だったと思います。2辺がちょっと長く、その長い2辺の前にはそれぞれテーブルと椅子。このテーブルのある方(客席でいえばH・A・B・Cブロックくらい?)がメインステージだったと思います。反対側の短い1辺の外側には2階へ上がる階段があります。その階段の踊り場下の部分には、カーテンがとりつけられています。その部分以外は1階も2階も窓のあいているネットで作られた壁があり、1階を覆う壁は1階部分から3階部分まで上下するようになっています。3階はいわば屋上というか屋根裏というか、ロフトのようなというか、2階の天井の一部分を覆う小さなスペース(たぶん定員一名(^^;)として作られており、はしごで上がり降りするようになっています。

座ったブロック、同じブロックでも座った席によって、見え方が全然違います。お芝居はどのブロックでも楽しめるようには作られていると思いますし、面白い取り組みだと思いますが、セットによる死角も多く、座った席の運不運が分かれるところです。が、青山円形劇場から始まったという遊◎機械/全自動シアターの最終公演としてのこだわりが感じられる舞台設営ですね。

ステージの床にはやっぱり工事現場のようなブルーのシートが敷かれている印象(実際には違うかもしれませんが)で、床にはスペードやクラブ、ダイヤなどのトランプのマークが描かれています。泥がついていたり、端っこには土があって草がはえているところがあったり、ひとつのテーブルは庭や公園にあるような木作りのもので、もうひとつのテーブルは波型のトタン板(?)でできていて、土管が真ん中に通ってる?どう表現すればあの雰囲気が伝わるかなぁ。こどもの遊び場になっている廃屋…みたいな雰囲気?

まずは、建物の2階が主人公のアタシの部屋となっています。テーブル、椅子、ソファ、ステレオ、洋服がかかったクローゼット、電話。
うす暗い中、客席の扉から浅野温子さんが静かに現れ、階段を上がり2階の部屋に入ります。浅野さんの役は中年になって人生の折り返し地点を迎えた「アタシ」。
独りでワインを飲み、ソファに横になるアタシ。そのまま暗転となります。
プロローグ ボロボロのワンダーランド
暗転の中、波の音。

ぼんやりと明るくなるとセットの一番上の3階にアリス(高泉淳子さん)がいて、『スマイル』を歌いつつ泣いています。
それを聞きつつ会話をするグリフォン(白井晃さん)とカメモドキ(冨岡弘さん)。
白井さんはBブロックの前の角の柱を途中まで登っておられました。冨岡さんは階段の上、踊り場のところにいます。

「よくもまあこんなに泣けるもんだね。」
「よっぽど悲しいことがあるんだろう。」
「あるもんか、みんな空想なんだよ。」

アリスは昔のことを懐かしんで歳をとってしまったことを嘆いて泣いていました。
昔、あたしはアリスだった。その気になればいつだって穴ぼこに落っこちることもできたし、人に何言われてもへっちゃらだったし、知らないコマーシャルソングはなかったし、明日が来ることが待ち遠しかった。なのに好きだったものはみんな遠くに引っ越しちゃって、好きじゃないものばかりが残って。齢をとるってこういうことなのね〜
グリフォンとカメモドキにからかわれてますます泣いているうちにアリスは「オアケナサイ」という扉を見つけ、なにげなく開けた扉に勢いで落っこちてしまいます。

暗転。
1.ボロボロのアタシの部屋
アタシの部屋。
ひとりでワインを飲んでいるアタシのもとに、変な電話がかかってきます。
電話に出ると、賑やかな音楽とざわめきが聞こえ、男の声で「なんで来ないの?ずっと待ってるのに!」みたいなことを言われます。心当たりのないアタシは間違い電話だと思って冷たい対応をすると「あ、すみません」と言って電話は切れます。

ひとりで迎える誕生日。留守番電話に入っているメッセージはデパートやエステサロンからの営業のメッセージばかり。それから、アタシが自分で吹きこんだ自分へのメッセージ。自分へのプレゼントとして買ったちょうちん袖のワンピースを着て、「スマイル」のレコードをかけてひとりで踊る。
そんなときまたまた電話。ざわめきを背景にまた数人の男の声「もう、ここでいいんじゃない!」「なにやってんの?早く来ないと席なくなっちゃうよ!」
もう!独りだと思ってバカにして!とアタシは腹を立てて電話をたたきつけます。

悲しくなって服を着替えようとクローゼットをあけると、なぜかそこにアリスがいるんですね(^^;(実際には扉はないですが、扉をあける、という設定だと思う)。ハンガーにかけられたコートと一緒になってぶらさがっている高泉さん(笑)、ハンガーのまま、ぐるんぐるんと回っていました(^^;
思わず何も見なかったことにして扉を閉めてしまうアタシ(ここ、おかしいんですけど、座席によっては全然見えないと思う。)

もう一度思いきってあけてみるとやっぱりアリス。アリスは部屋に入り込んでアタシのワインを勝手に飲んだりします。どうせ職場の人のいたずらだと思ったアタシ。デリバリーメッセージサービスとかでしょ!どうせなら筋肉ムキムキの若い男の子がいいのに、よりによってこんな…ってアタシは怒りますが、アリスは「こんななんなの?おばさんだっていうの?」ってからみます。好きで齢くっちゃったわけじゃないわよ!誰も呼びに来ないし、何も起こらないし…というアリスの言葉に妙に共感するアタシ。

そうこうしているうちに、またかかってきた電話にアリスは勝手に出てしまいます。いたずらだからってアタシは言うんだけど、さっきからクローゼットの中で全部聞いていたアリスは「いいのいいの仕返しだから」と、適当な受け答えを始めます。しかし…「アタシ、今ベットの中にいるの。シャワー浴びたばっかりで何もつけてないの」「下着をつけたほうがいい?それともこのまんまがいい?」「そっちいきたい」「落っこちてゆきたい。あなたのところまで」なんつー会話を繰り広げます。…た、高泉さん…(^^;
ちなみに、その電話の相手の男の声が、平沢さんです。

そっちへ行きたい。行き方教えてというアリスに答えて「あしたは晴れだと思って」「扉を探して」という電話の向こうからのアドバイス。それに従って、とりあえず扉を探すふたり。探しているうちに床に散らばった、人に知られたらちょっと恥ずかしい(?)本の中に紛れてあったのはボロボロになった「不思議の国のアリス」。その中に扉に関すること書いてあったよね!とページを繰るアリスよりも先に、そらですらすらとその部分を言えるアタシ。大好きで何回も読んだから…。でもそこに書いてあるような小さなサイズの扉なんかない。ないわよ!と言うアタシにアリスは「ぜったい?」 アタシは思わず「ぜったいとか、そういうことって…」ひきついでアリス「この世にはないのよ」
ふたり一緒に笑う。アタシ、ちょっとうれしくなる。
でも、アリスのペースに巻き込まれてしまったことに気づき、何気ないふりを装うアタシ。
そんなアタシとは関係なくマイペースなアリスはテーブルの下の床下収納の扉を見つけます。
アタシは「それはただの床下収納だから」と言いつつも、アリスに言われて、しょうがなく開けてみるが、やっぱりただの床下収納。やっぱり片付けられていない収納庫。

アタシとアリスが押し問答をしていると、ギイっと勝手に扉が開きます。いったん閉じるけど、もう一度開く扉。そして賑やかな音楽が聞こえ、そこからウサギの耳をつけた女(富浜薫さん)が現れ、「お酒ない?」(ここ、富浜さんは、最初の頃は扉から上半身を出すだけだったんだけど、後半には、完全に扉から出て部屋に入るようになっていましたね。たぶん座席によっては見切れるから改良されたんだろうな)
呆然としながらも、さっきまで飲んでいたワインを渡すアタシ。ワインを受け取りまた扉の中へ消えていくウサギ。
アリスは「あしたは晴れると思わない?」とアタシを扉の向こうへ誘います。反発しながらも、アリスに引っ張られ、扉の向こうへ落ちて行くアタシ。

暗転。
2.気違い仲間の仮装パーティ
1階部分の壁が3階まで上がり、暗転から明るくなると、そこはワンダーランドのクラブ。
真ん中あたりにアップライトピアノとカウンターテーブル。

このクラブにはいろいろな人がいます。時計屋(白井さん)、鼻眼鏡(冨岡さん)、帽子男(小林隆さん)、アヒル(北村岳子さん)、ウサギ(富浜さん)。クラブの人達の衣装に共通するものは、黄色い透明ビニールで作られた小物。人によって、帽子であったり、ウサギの耳だったりいろいろ。
平沢さんはクラブのバーテンダー。白の襟元がフリルのシャツに、黒っぽい、よく見ると細い白の縦じまが入った渋いスーツ姿なのですが、胸ポケットにその黄色いビニールのチーフ(と、言っていいかな?)、上着は短めで腰にはベルト…じゃないとは思うけど、ぐるりと黄色ビニールの飾りを巻いてます。うまく表現できないけど、シャンプーハットのような…よけいわからん?…ま、いいか。(すみません。わからんかったら具体的に質問してください。)
アリスとアタシが入ってくると、音楽とざわざわとしたクラブの雰囲気。ここでちょっとダンス。ちょっとしたステップですが、平沢さん、かっこいいっ!
ここで使われた曲は“Us3”というアーティストの“COME ON EVERYBODY (GET DOWN)” という曲だそうです。ko2さんがネタばれOK感想掲示板で教えてくださいました。

台本を読むと、バーテンダーは不気味なほど気取った顔をして不気味なほどセクシーな声なんだそうな。名前は「セクシーボイス」。クラブのお客さんに飲み物を配ったりしてひとりで働きます。
そして、セクシーボイスとアリス、クラブにいる人たちはさりげなく、アタシを会話に巻き込み、アタシの過去の不幸な出来事や、ひょっとして起こったかもしれない出来事に登場する人物になっては、アタシの物語を展開していきます。

音楽とステップに乗って、クラブの人達が好き勝手なこと言って、アタシの気持ちを逆撫でするのですが、そのうち、平沢さんが階段を登っていくので何するのかな?って思ったらどうやらマイクを取りに行ったみたいで、急にスポットライトが当たり、ハンドマイクでしゃべり始めます。セクシーボイスはアタシをエスコートし、誘導尋問をしつつ、アタシを導きます。痛い!というところで、ドラム缶(バケツだっけ?)をたたくところがあるのですが、ホントに痛そうだ(^^;

さて、アタシの過去の不幸な出来事、それはいつも、楽しいはずのお祝いの日に起こった、それは…誕生日。
3.大嫌いな誕生日
アタシの10歳の誕生日。アタシは誕生日なんて大嫌い。誕生日が来るたびに大事なものがひとつづつ消えていって、欲しくないものがひとつづつプレゼントされる。そんな彼女の10歳の誕生日。
それまではパパがいて、ママがいて、おじいちゃんがいて、犬のボビーがいて幸せだったのに、10歳の誕生日にはママがいなくなっていた。少女時代の「アタシ」は「アリス」が演じます。

ここでの平沢さんは、「犬のボビー」です(^^;
舞台の隅っこ(とは言っても円形だから隅も裏もないんだけど(^^;客席で言えばEかFの前くらいかな?)でスーツの上着を脱いだと思ったら、ぽこぽこした白の起毛素材にこげ茶のキルティングの袖のついた上着に着替えて、こげ茶の帽子、帽子には靴の中敷みたいなぺろんとした耳がたれていて、襟元にグレイのマフラー。全体にぽわぽわしていてぎゅって抱きしめたくなっちゃいます。
最初、いったい何の役だろう?って思ってたんだけど、この犬のボビーがまた可愛いんだな〜(^^)じっと座って待っているときでも、なんかほんとに犬みたい。
高泉さんアリスが出てくるのをじっと客席の通路前で待ってて(ほんとに犬みたい)、アリスが出てくるとアリスに寄り添いアリスを励まします。

お誕生日のお祝いはまずは2階でのケーキのろうそく消しから。ママがいなくてうれしくないのに、お祝いなんてと思ってしぶるアリスのスカートをひっぱるボビー。アリスはボビーをなでて「わかったわ、ボビー」。このアリスの言葉で、客席は平沢さんの役を「あっ犬!」と悟ります。思わず笑いが起こる瞬間。

2階でケーキを囲んでみんながお祝いしているときには、ボビーは階段の踊り場に座って待っています。
ちょっとした騒ぎになってみんなが目を離しているうちにケーキがぐちゃぐちゃになるのは、おじいちゃんのせいにされちゃうけど、実はボビーがつまみぐいしてるんですね。ボビーったらアリスの鼻の頭にもケーキのクリームをつけてました(^^;;

さて、おばさん(北村さん)達にもらったプレゼントは派手なフルーツ柄のエプロン。アリスはちっともうれしくない。正直にうれしくないと言ってしまうアリスに、パパ(白井さん)は「プレゼントってのは福袋みたいなもんだ。欲しいものが入ってたらめっけもんだ。」と説得し(この言葉、すごく説得力がある(^^;)、アリスに無理やりお礼を言わせます。でもこのエプロン、アリスに渡されて、なぜかボビーが身につけるんですね。ぽわぽわの上に派手なエプロンをつける平沢さんって、とってもキュート(^^)

いとこのモモ(富浜さん)からのプレゼントは牛乳瓶のふたで作った写真立て。ママのいない写真を飾るわと言うアリスの横で、ボビーは写真立てを受け取ってくんくんくんくん匂いを嗅いでいます。犬らしい(笑)
モモは雑誌から切りぬいた「ママになったらいいなと思えるような人」の写真をアリスにプレゼントしますが、アリスが選んだのはなぜか馬の写真。「馬だよ!」と訴えるボビーはアリスに頭を叩かれます。
パパはだんだん機嫌が悪くなってくる。おばさんたちは必死で雰囲気を明るくさせようと、おばさんが作ってきたケーキを食べようとするんだけど、それがまたとてつもなくまずい。アリスは「ママが作ったケーキが食べたい!」と泣き出してしまうし、とうとうパパは怒り出してしまって収拾がつかなくなります。

と、突然おじさん(小林さん)がピアノのところへ行って、「ショータイム!」
おじさん一家のコーラスが始まります。
なんとも突拍子もないショータイム、楽しいのか不気味なのかわかりません(^^;ボビーはおじさんたちの歌にあわせて「ぶん!」ってところで一緒に鼻をこすったりしています。
おじさんたちが終わったら、今度はアリス達の番!と言われ、アリスは「そんな気持ちの悪いことできない」って言い張りますが、パパに怒られてしぶしぶ「ケセラ」を歌い始めます。
足元にボビーが座り、アリスはドラム缶の上に立ってボビーの頭をなぜながら歌います。ボビーは歌に合わせて悲しげに「うおお〜ん」と吼えたり、最後のほうには、コルネットを歌に合わせて吹いたりします。(はい、コルネット。これが星空掲示板のほうで話題になっていた、「シークレットクラブ」でお馴染みのアイテムですね。ミュートを使って音色を変えて吹いてます。)

アリスの歌が終わると、平沢さんはボビーの格好のまま、アタシのところへ来て「悲しい誕生日だね」と話しかけます。アタシが「そう。その次の年には、犬のボビーが消え…」と言ったとたんに平沢さん、ボビーの扮装をすばやく脱ぎ捨て、もとの「セクシーボイス」に戻ります。ここ、ホントにすばやい!
4.おじいちゃんが消えた日
ボビーの扮装を脱ぎ捨てセクシーボイスに戻った平沢さんは、バーテンダーに戻ったら戻ったで、テーブルの上のケーキを片付けたり、みなさんに飲み物を配ったり、くるくるとよく働きます。

さてアリスの11歳の誕生日には、ボビーが消えてせとものの大きな犬の置物をプレゼントされ、12歳の誕生日には水玉のブラジャーをプレゼントされた。ほしくもないものばっかり。
そしてその晩、おじいちゃん(冨岡さん)が消えた。原因はディープキスですが、詳しい経緯省略(^^;
誕生日が来るたびに大事なものが消えていく…。自分で消してしまっていることに気づかずに、そして一番大事なものを失った。それはパパ。
5.パパと最後の誕生日
ひとつづつ消えていくたびにいじけていって、パパと話さなくなったアタシ。そんなアタシをパパは心配して、おじさんの家に預けることにした。パパとのお別れの日はアタシの13歳の誕生日だった。

Aブロック前のテーブル(波型トタン板と土管のテーブルのところ)で、パパとふたりでレストランで食事をするアリス。
セクシーボイスはウエイターになって、ふたりにケーキを運んできます。
一所懸命アリスに話しかけるパパ、だけどしゃべらないアリス。
誕生日プレゼントの箱を置いてパパは寂しそうに去っていく。
アリスは本当はパパといろいろ話したかった。本当はパパのこと一番好きで、おじさんのところになんか行きたくなかった。本当はパパとずっと暮らしたかった。
プレゼントの箱から出てきたのは指輪。
パパにひどいことをしてしまった…後悔の涙にくれるアリス。
パパが去ったあと、レストランに「ケセラ」の曲が流れた。この曲でパパと踊りたかった…

わたしはこの場面、切なくてしょうがないです。
5’.アリスを元気づけるムーブメント
流れるケセラの曲に合わせ、クラブの人たちは男女組んで静かに踊ります。このときセクシーボイスはしょげているアリスに両手をさしのべ、アリスを優しく胸に抱いて踊るんですよね。アリスがむちゃむちゃうらやましい場面でした。
6.マイ・フーリッシュ・ハート
さて舞台はクラブに戻って、人々の会話。セクシーボイスはケーキを片付け、皆にワインを配ります。
アタシの昔の恋のお話。中学のときにも高校のときにも好きになった人はすぐ離れていってしまう。だからもう好きになることをやめたと言う。そんなのだめよ!とアヒル(北村さん)。女性達はこの話で盛りあがる。本人の前ではわざと冷たくしちゃう、心とは裏腹のことを言ってしまう。それはだめ!裏腹のことって、わかる人にしか通じないのよ。(このへんの会話って納得すること多かった(^^;)
男性達は「どうして女は思っていることと逆のことを口にするんだろう」という話で盛りあがる。
台本では男女別々に会話するようになっているけど、実際は全員で盛りあがっていましたね。
ここで、これはどういう意味だと思う?ってひとつづつ検証(?)していく会話があるんだけど、セクシーボイスの男が「あなたはどう思う?」と聞かれて女心を説明する台詞があります。平沢さん…素敵っ!(^^)

「あなたはどうなの?」と問われ、アタシが語り始めると、セクシーボイスがぱちんと指を鳴らし、音楽が流れます。セクシーボイスはアタシにハンドマイクを差し出し、アタシはマイクを持って語り始めます。セクシーボイスはアタシからマイクを取ってアヒルに渡し、歌になります。数人で歌いついでいくのだけど、北村さんがさすがの歌声を聞かせてくれます。
ここ、台本には「セクシーボイス、その世界に入ってひとりで踊っている」ってあります…。

さて、ネタばれOK感想掲示板で佳香さんが書いてくださったこの場面の説明にちょっと加筆して。
アタシの台詞が続く中「マイ・フーリッシュ・ハート」の音楽が流れ始め、ここでセクシーボイスがEブロックの前でちょっと踊ります。かっこいい、平沢さん!
セクシーボイスが、アタシからマイクをとってアヒルに渡し、歌が始まります。女性陣が歌い継ぐ中、平沢さんはくるくると踊っています。テーブルの上で足を上げたりして美しいです。この時、アリスが歌いながらセクシーボイスのひざ下をなでおろします(キャー!高泉さんたら・・)。
歌が終わる頃、セクシーボイスはくるくるとターンしながらアタシに寄って行きます。台本によると「いっちゃってる」3人の男性ダンサー(白井さん、冨岡さん、小林さん)が踊り始め、セクシーボイスはアタシの腕に手を添えてやさしく向きを変え(紳士的!)、3人の男性の投げキッスを受けさせます。3人の男性が踊り始めるとEブロックの前で座って見てて、四方に散って踊るときに平沢さんはEブロックの前で踊ります。またまた、かっこいい!平沢さん。
7.自己ピーアール
歌が終わると、セクシーボイスはアタシからマイクを取って、「心にしみる歌をありがとう」。他のみんなは去っていき、ステージにはセクシーボイスとアタシのふたりだけ。
セクシーボイスはアタシに「今、あなたは心の底から誰かを受け入れたい、そんな心境ですね?」と尋ねます。うなづくアタシにセクシーボイスは、感情を表現することが大事だと語ります。
「あなたの売りはなんですか?」とセールスポイントを尋ねられたアタシは、「あなたは?」と聞き返しますが、セクシーボイスは「ひとあたりのいいところ」と答えます。アタシはというと「ひとりよがりなところ」(それってセールスポイントかい?(^^;)ひとあたり、ひとりよがり。言葉は似ていても全然違います。
ほかには「自分勝手」「自己本位」「意固地」…

と、こんな会話をしているうちに他の人は妙な格好に着替えて次々現れます。どうやらみなさん70年代のヒッピー風の衣装。アリスもヒッピー風になって現れ、アタシに衣装を手渡します。その間に平沢さんもまたまた舞台上ですばやく上着を脱ぎゴールドのラインのはいった茶色(だったと思う)の長めのベストを着、頭にはでっかいアフロのかつらをかぶります。そして着替えたアタシに数枚の字の書いてあるパネルを渡します。平沢さん、着替える途中にテーブルの上を片付けたりもしてました。ほんとに忙しそうです。
7’.気が変になるようなパフォーマンス
富浜さんが「Egoist」と書かれたプラカードをアタシのまわりにかざします。テンポの速い音楽が流れ、踊り狂う人達。アタシはテーブルの上に立って、パネルをかかげ自己アピール。パネルには「Touch me」「Kiss me」などなどのメッセージが書かれています。ぐるりと反対側に移動して階段の上に立ってまたパフォーマンス。みんなの勢いに気圧されてなんだか気が変になりそうなアタシ…

セットのまわりに散って、男女組んで踊るときには、平沢さんは高泉さんと組んでいました。高泉さんはピンクの羽のストールで平沢さんをいたぶる(^^;赤色系のライトの中、リフトもありのなかなか激しいダンスです。階段を上がり、2階、3階まで使って踊り狂う人達。平沢さんはひとり3階のてっぺんまで駆け上がって踊ってらっしゃいました。

曲が終わると、アタシ、アリス、セクシーボイス以外の人はさーっと去って行きますが、平沢さんはアフロのまま、踊り続けていて、アリスに「いつまでやってるの!」ってどつかれて(笑)かつらをとられてました。
そしてアリスがアタシに話しかけている間に、平沢さんはすばやく着替え、セクシーボイスに戻り、話に参加します。ここは時間足りないみたいで、よく上着の裾が折れてました(^^;そのうちなにかの拍子に直るんですけどね。
(アタシはいつ着替えたんだっけ…?すみません見てません(^^;)

なお、ko2さんによると、この場面の曲は、“FIONA APPLE”というアーティストの“FAST AS YOU CAN”という曲だそうです。
8.とりあえずの選択
アリスはアタシに今の気分はどうかと尋ね、アタシが悪くないと答えると、着替え終わったセクシーボイスがすかさず「そうでしょう。心の扉が今開いたのだから。」

と、そのとき、バニーガールの格好をしたアヒル(北村さん)とウサギ(富浜さん)が「心の扉」を運んできます。(枠だけの扉なんですけど)
セクシーボイスはとうとうと語ります。
「さ、今あなたは自分をアピールしたわけですから、少しでも関心を寄せてきた男性がいたら選ばなければならない。」
セクシーボイスはここでもずいぶんなこと言ってます。
選ぶなんて行為は限られた人に許されたことだけど、仮の話だからしょうがない。注文をつけるとかおこがましいことはやめて、とりあえず選ぶ。どんなおそまつな人にでもひとりやふたり近づいてきた人はいるもんです。さ、そのあなたに近寄ってきた物好きなその男は? (言われるのが浅野温子さんだからいいけどねぇ…)

心当たりのないアタシに、セクシーボイスはヒントを出します。
「ヒント!」と言うアリスの声に答え、バニーガールが取り出したものは「電話」
思い出すアタシ。毎晩いたずら電話をしてきた「アヘアへ男」!
ある晩アヘアへ言ったあとで、会ってくれと言ってきたのだが、アタシは当然断って電話番号を変えたという。
この場面の平沢さん、テンション高いです。台詞言いながらばったり倒れたり、膝歩きとか(たぶんそのときによって違ったのかな?)してました。

そのアヘアへ男(冨岡さん)が、今、心の扉をくぐり抜けて、アタシの前に。いちおう一緒にテーブルにつき、アヘアへ男はジン、アタシはストレートのウオッカを注文しますが…でも男はアヘアへ言うばっかりで何を言いたいのかわからない。
そこへ、突然アヘアへ男の友人(白井さん)が現れる。(親友だそうで、アヘアへ男の言うことが何でもわかっちゃうらしい)
彼の通訳でアヘアへ男はアタシにプロポーズしますが、アタシはアヘアへ男より、彼の友人のほうがいい!と友人に「あたし、あなたのほうが」って言いますが、突然友人は「僕、ブラジルへ行くんだ!」と言って去ってしまいます。
そう、アタシが好きになると消えちゃうんでした…。

アヘアへ男も去って行くと、セクシーボイスはアタシに「実はもうひとかたお呼びしています。」
また心当たりがないアタシに、またまた「ヒント!」
今回のヒントは「ボタン」。(でっかいボタンなので、最初は車のタイヤのホイールかと思ってしまった(^^;)アリスは「鍋のふた?」
背広の袖のボタンです。デパートのエレベーターの中で、その男はアタシの髪の毛に背広のボタンがからまって…。

セクシーボイスが呼び込むと、心の扉がノックされギイっと音を立てて開き、デパート男(小林さん)が入ってくる。
Eブロックの前の階段下にカーテンがあるんだけど、そこがデパートのエレベーターとなります。ちょっと前に閉めておいたカーテンをふたりが来るのに合わせてさっと開き、「上へまいりまーす」とエレベーターボーイ(?)となり、ふたりをエレベーターに招き入れるセクシーボイス。
アタシの後ろにぴったりと立ったデパート男はアタシの髪の毛に背広のボタンを絡ませています。「なにするのよ!」って怒るアタシに、ひっかかってとれないから髪の毛を切るしかないなぁなどとのんきなことを言うデパート男。

階段を登って踊り場に上がったアリスは、傍の柱をよじ登ってきたセクシーボイスからハンドマイクを受け取り、アタシのかわりに勝手に「うれしくて…」とか「めぐり合うべくしてめぐり合ったのかな」「あなたと一緒になりたい」などと言って、デパート男をその気にさせてしまいます。
セクシーボイスは柱に登ったまま手を差しのべ、それを見守っていますが、話がついた頃、踊り場に移って階段を下りるんじゃなかったかな。

さて、やけになったアタシはデパート男と「とりあえずのはじめてのデート」をすることになります。
セクシーボイスはアタシに「広い心を持って相手を受け入れてみることです。彼のほうから近づいてきたのだから」と諭し、「ひっかかっただけよ」というアタシに、「ひっかかった、いい言葉ですね。男と女の出会いにはもってこいの言葉です。」なんてカッコイイことを言います。そして「ひっかかったのはあなた?それとも彼?」というセクシーボイスの声が響いた瞬間、舞台はイタリアンレストランへ。
9.とりあえずのはじめてのデート
アヒルとウサギとアリスはギャルソンに、時計屋(白井さん)はお店のオーナーに変身しています。「ボナ・セーラ!」とアタシをレストランに招きいれるオーナー。
この間に平沢さんはぴゅーっといなくなって、ギャルソンの姿に変身してまた登場します。(忙しいですね(^^;)
注文をとるオーナー。デパート男の注文は「ジンとくるジン」アタシの注文も勝手に「ジンとくるジン」にされてしまい、オーナーの「ジン!」という声に答え、ずらっと並んだギャルソンが「ジン!」「ジン!」「ジン!」と隣に言いつないでいきますが、最後が平沢さんなんですよね。平沢さんも隣に向って「ジン!」って言いますが、誰もいません(^^;

デパートの好きなところを熱心に語るデパート男。どうしてもなじめないアタシをアリスはひっぱっていって、「もっとその気にならなきゃ」と諭しますが、アタシは好きになれないとこばみます。じゃ、あの人は?と指差す先には…もうひとりの男が、レストランに現れ別のテーブルに座っています。注文は?「アヘアヘアへ」…まさしくアヘアへ男(冨岡さん)。
「どっちかしかないのよ」とアリスに言われ、またデパート男のところへ戻るアタシ。
でもやっぱりデパート男にもなじめない。

セクシーボイスのギャルソン、アタシに「ダッタラマダマシ効果」をためそうと提案。苦くて食べられないと思った時、もっと苦い物を口にしてみると、さっきのものが「だったらまだまし!」と甘く感じる…
セクシーボイスは、嫌がるアタシをガシっと後ろから抱きかかえて、アヘアへ男のテーブルに運んでいきます。(ここ、平沢さんすごいよねっ!)
セクシーボイスがアタシを椅子に座らせると、他のギャルソン達が次々と料理を運んできます。

ここで、歌手登場。胸元がピラピラしたフリルの真っ赤なシャツを着た黒スーツ姿の白井さんがハンドマイクを手に「オーソレミオ」を歌います。「ア・ラ・カルト」でも登場の「アキラ」さんでしょうか。これはなかなか意表をついた展開(笑)
(平沢さんがギャルソンのエプロンのポケットからハンドマイクを取り出していたのを覚えていて、それはここなのかと思っていましたが、そうじゃなかったですね。白井さんは最初からマイクを手に登場、歌い終わって去る前に平沢さんにマイクを渡してました。)

歌の間、ギャルソン達は総動員で伴奏に参加します。平沢さんはまずバケツを叩き、トタン板のテーブルをかきむしり(?)、富浜さんとふたりでピアノを弾き、またバケツ叩きに戻ります。アタシとアヘアへ男の間にはその間、攻防(?)が繰り広げられますが、アタシはやっぱりアヘアへ男はだめ。そこへアリスが料理を運んできて、「あっちでがんばってみる?」とアタシに尋ねます。うんと答えるアタシの服にわざと料理をこぼして連れだし、またデパート男のもとへ。

デパート男の話にいちおう付き合うアタシ。アリスが勝手に会話を進めて話は盛りあがってしまい、ついにアタシはデパート男にプロポーズされてしまう。セクシーボイスはアタシに「Oui、それともNon?」とプロポーズの返事を迫ります。うまく乗せられ「ウイ」と言ってしまうアタシ。あれよあれよと言う間にデパート男と結婚したことになってしまいます。
ふたりを残し、みんなぴゅーっとステージからいなくなります。
10.とりあえずの結婚生活
結婚したらしい二人の前にまず現れるのは、夫となったデパート男のママ。白井さんです。ワンピースだったかな、とにかくスカート姿の中年女性が来たと思ったら白井さんだったんです。(相変わらず女装が全然違和感のない人だ(^^;)

ふたりの新居(?)はセットの2階の部屋。
次々と夫の家族が階段を上がってきて自己紹介します。パパは富岡さん、そして平沢さんは「チョンガーの兄」、北村さんが「出戻りの妹」。最後に現れるのはアリス・高泉さんで「いかずごけの姉」…
みんなそれぞれ、らしい格好をしています。平沢さんはめがねをかけてさえない感じの装いになってました。

このファミリーは全員一緒に暮らしてて、毎日3食、家に帰ってきてみんなで食べるらしい。いろいろとしきたりがあるらしく、その中のひとつはお茶。みんなそろってお茶を飲み、そのとき声をそろえて「ハッピーティー!」と言わねばならず、お茶の飲み方にもとっても変な飲み方の決まりがある。スプーンでカップを思い切りかき混ぜてから、スプーンですすって飲むのである。
その様子に驚くアタシ。あなたも召し上がれと言われ、普通にお茶を飲んだら、ママが「あんな飲み方!お茶の飲み方も知らないなんて!」と怒り狂います。アリスがいさめ、教えてあげましょうよということになり、全員が入れ替わり立ち代りアタシにお茶の飲み方を教えはじめます。全員に教えられ見つめられ、しかたなく言われたとおりやるアタシ。
みんな喜んで、さあ次はプレゼント!全員わらわらと下へ降りてくると、なにやら包装紙にくるまれた大きなプレゼントが歩いてきます(変な表現ですが、本当に歩いてくるのです(^^;)。
みんなからのプレゼントよと言われ、せっかくだからともらうことにし、包装を破って開けると、現れたのは首にへその緒をぐるぐる巻いた女の子(富浜さん)。
あなた達の娘よと言われとまどうアタシを尻目に、みんなは「おばあちゃんですよ〜。」「おじいちゃんですよ〜」と娘に自己紹介を始める。平沢さんと北村さんの言う「ワシはおっちゃんです」「アタイはおばちゃん。」これがなんかおかしい(^^;

そんなことをしている間に、ママがケーキを出してきて、ウェデイングケーキとバースデーケーキだと言いますが、なぜか娘の10歳の誕生日ってことになってるんだな、いつのまにか。
11.会えないかもしれない娘との別れ
さて、10歳の誕生日を迎えた娘はなぜか、10歳になったらパパもママもおじいちゃんもおばあちゃんもみんな消えてしまうからろうそくは9本じゃなきゃ嫌だと泣きます。が、許してもらえません。10本のろうそくの火を吹き消すように言われ、泣く泣く消そうとしますが、アタシは娘の代わりに吹き消してしまいます。

それがきっかけになって家族喧嘩が始まってしまいます。
大騒ぎになり「どうしてこんなわけのわからない子に育ったんだ!」と夫は娘を責めますが、アタシは「悪いのはみんなあたし」と娘をかばいます。どうせうまくいきっこないと思ってるから…家族なんて作れないと思ってるから。誰のせいでもない。みんなあたしのせい。

しーん…とする一同。
「あー、あともうちょっとだったのに…」とつぶやくアリス。
家族達は静かに去っていきます。
去っていくデパート男にアタシは最後に「ありがとう」と、とりあえずでも自分に関わってくれたことへのお礼を言います。

残ったのはアタシと娘とアリス。アリスは娘とアタシにケーキをとりわけ、娘になにか耳打ちをしてその場を離れます。
ふたりきりになったアタシと娘。
ふたりでケーキを食べながら会えないかもしれない娘と話すアタシ。
会えなかったらごめん。でも会えたら、もしも会えたら、10歳の誕生日を過ぎても消えたりしないから。下手でもケーキを作るから…

静かに流れてくる「ケセラ」
もし会えたらこの曲でママと踊ろうね。
娘はうなづいて去っていく。
ひとり残ったアタシは泣いている。

…この場面、わたしはとてもつらいです。
でも、そういう感慨とは別に、娘がずーっとへその緒を首にかけたままなのが気になって気になって。それとってくれないかしらってずっと思ってました。それから、アリスは娘に何を耳打ちしたのかな…
12.ひとりで勝手に齢とっちゃえば
泣いているアタシのところへ、クラブの人達はもとの姿になって戻ってきます。
セクシーボイスは泣いているアタシにハンカチを渡し、アタシに話しかけます。

あなたは出会ったかもしれない人達と出会い、別れ、悲しみ、泣いている。思いをかなえたいと本気で願えば、泣かなくてすんだかもしれないのに。願いは願うためにあるのではなく、かなえるためにあるんだから。
そしてセクシーボイスはみんなにワインを配ります。

アタシはますます泣く。
あたしはやっぱりひとりなのね。
アリスはみんなそうなの、と慰めようとするが、アタシは聞く耳もたず、クラブのみんなにいろいろ言われても、どんどん自暴自棄になっていく。
みんな時間のせい、時間があたしから何もかも奪っていくんだわ。
ひとりでこんな時間にいたくない、さっさと齢とって消えちゃいたい!と、アタシはすごい勢いで階段を駆け上がり、2階の天井にぶらさがっている大きな振り子時計を動かしてしまいます。
大きな時計の音が鳴り響き、例の3階に上がっていた壁が降りてきて、1階の舞台は真っ暗に。
13.だれがアリスの齢を喰ったか?
ふたたび壁が上がって明るくなったとき、アリスはすっかり年老いた老人の姿になっている(暗い中、高泉さんの扮装替えをきびきびと手伝っていたのは平沢さんです)。クラブの人達は鏡を手に持ち、アリスの姿を映している。
アタシのせいで、年老いてしまったアリス。
クラブの人達は好き勝手に騒ぎ、年老いたアリスをじゃけんにする。
ケーキに立てられたろうそくは数え切れないくらいのたくさんの数。
こんなに齢とっちゃったのね、まだやりたいこといっぱいあったのに…とアリスは泣く。
クラブの人達はそんなアリスにお構いなしに大騒ぎ。

セクシーボイスはアタシにもケーキを渡し、こうなったらととこん悲しめばいいんだよとアタシに言います。
クラブのみんなはアタシに言います。そうじゃないと、同じこと繰り返しているだけだしね。
「私、誰かを受け入れたい。でも、犠牲を払うのはイヤ」
「じゃ、ひとりでいっか」
「やっぱり私、誰かを受け入れたい。でもやっぱり犠牲を払うのはイヤ」
「じゃ、やっぱりひとりでいっか」
…の繰り返し。

起訴状まで持ち出して、こうなったのはアタシのせいだと暗に示すクラブの人達。傷つくのが怖くて1歩踏み出す勇気がなかったから、こうなってしまった。
クラブの人達がみんなで言葉で翻弄し、年老いたアリスをいじめます。
ここでの会話はホントきついです。そんなに言わなくたっていいじゃない…って泣きたくなっちゃいます。

たまらなくなったアタシは、とうとう「あんた達の言うことなんか聞いてられないわ!」と叫びます。その瞬間、椅子に座ったクラブの人達はストップモーションに。
14.アタシはアリス
アタシとアリスは言います。

そりゃ昔みたいなわけにはいかないけど、だけどその気になればワクワクすることだってできるかもしれないし、ワンダーランドの穴ぼこにだって落っこちることだってできるかもしれない。時間はかかるかもしれないけど、コマーシャルソングだって覚えられるかもしれない。
まだ時間はあるんだし、終わりが来るまでそれなりに生きていく。たとえずっとひとりでも、あたしを愛してくれたパパとママがいて、その前にもずっと前にもつながっている人がいて、だからひとりじゃないんだし、それなりにやってみせる。 先のことはわからない。でも大丈夫。なんとか笑って生きてみせる。あんた達なんかにばかにされないくらい、笑って生きてみせるわ!
(この台詞はアタシとアリスが交互に語るのですが、本当はもっと長いです。)

強く言いきったアタシにクラブの人達は「おめでとう!」と拍手を送ります。
そして老人からもとの姿に戻ったアリスはアタシに「この人達はみんなカードなのよ」と言い、頭上を示します。
そこには上の世界へ続く梯子。光が射しています。
光に包まれ、アタシは段を上がっていきます。
暗転。

気がつくと、アタシは自分の部屋にいる。
ワンダーランドに落っこちる前の変わらない自分の部屋。
電話のベルが鳴る。
出ると、波の音。
そしてアリスの声「明日は晴れだと思わない?」
アタシは「ええ、そうね。」とうなづく。
電話のむこうではアリスが仲間とはしゃいでいる声が聞こえる。
アタシは耳を澄まして微笑みながらその声を聞いている。

暗転。
エピローグ
暗転の中、波の音。

ぼんやりと明るくなるとセットの一番上の3階に少女のアリス。
そしてプロローグと同じ場所にグリフォン(白井さん)とカメモドキ(冨岡さん)。
プロローグではアリスが『スマイル』を歌いつつ泣いていましたが、この場面で泣いているのはカメモドキ。
そして
「よくもまあこんなに泣けるもんだね。」
「よっぽど悲しいことがあるんだわ。」
「あるもんか、みんな空想なんだよ。」
というプロローグと同じ会話が繰り広げられます。
会話をするのがプロローグではグリフォンとカメモドキでしたが、この場面ではグリフォンとアリスです。
でも泣いていたカメモドキもあっさりと元気になり、じゃあ次はあたしの番ねと話を始めるアリス。

昔アタシは幸せだったけど…
今は、お先まっくら。…おしまい。

3人は笑って「その先は?」
アリスは明るく「その先の今になった時に考えるわ。」
「じゃ、この話は?」
「おしまい。」
3人の笑い声。

『スマイル』の曲が流れる中、暗転。
お・し・ま・い。
明るくなると、3階の高泉さんと、2階の浅野さんが挨拶。
降りていた1階の壁が上がると、全員が現れ、セットの回りをくるくる回りながら挨拶をします。
千秋楽には、キャストひとりづつ紹介されたようです。

toshieさんが星空掲示板に書いてくださった千秋楽の様子。

いつものように全員が、円形の空間からいなくなったあと。
DブロックとHブロックの後ろの壁に、遊◎機械/全自動シアターのロゴが投影され、白井さんと高泉さんが登場されご挨拶をされました。
そして、初めて青山円形劇場で上演された「僕の時間の深呼吸」から、山田のぼるくんの台詞を高泉さんが少年の声で。
『かなたのかなたのいつかのいつか、ぼくは、あいかわらずだろうな、そんな気がする。 そうだと、いいよね。』
白井さんと高泉さんに拍手、照明を担当された、創立メンバーの吉澤耕一さんに拍手。
大きな拍手の中、全ては終了しました。

おおきな区切りのあと、今回の出演者の方たちを一人ずつ招き入れて紹介。皆さん、客席も円形なのでクルクル回りながら。
そうして、「クラブ・オブ・アリス」も終わりました。

ラストで3階のアリスちゃんが「そう、おしまい!」と言ったあと、『スマイル』が流れる中、高泉さんが客席に向かって「笑って」と盛り上げるような手振りをしながら小さな声でおっしゃってて…。

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