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シラノ・ド・ベルジュラック
Cyrano de Bergerac


【場面】
1景 劇場「便箋座」
2景 ラグノオの料理屋「山猫軒」
3景 ロクサアヌ居室のバルコニー
4景 戦場の丘
5景 十五年後の修道院
(パンフレットより)

【あらすじ】
平澤さんの役シラノは近衛青年隊員です。パンフレットの記述によると「哲学者たり、理学者たり、詩人、剣客、音楽家、また天界の旅行者たり、打てば響く毒舌の名人、さてはまた私心なき恋愛の殉教者」だそうです。

いろんな才能を持ったシラノだけど容貌は美しいとはいえず、醜い大鼻の持ち主。可愛い従妹のロクサアヌにひそかな思いを寄せているが、そのロクサアヌは、同じ青年隊員で美形のクリスチャンを好きだという。可愛い従妹のために、その恋を応援し、クリスチャンのために、闇夜に紛れクリスチャンの声色を使い、美しい愛の言葉をロクサアヌに贈る。その甲斐あって、ロクサアヌとクリスチャンは結ばれるが、シラノは黙ってふたりを見守り、その後も戦場からクリスチャンの恋文を代筆しロクサアヌに送り続ける。しかし、クリスチャンは戦場で命を落とし…シラノはその最期を看取る。

ロクサアヌは尼僧となり、十五年後。クリスチャンを思い黒装束のままのロクサアヌを慰めに通うシラノ。
ある夕刻、ロクサアヌはシラノにかつての恋文を見せる。ロクサアヌはこの恋文によりクリスチャンへの思いを深めたのだった。
シラノはその手紙を声に出して読む。陽が暮れ文面が読めるはずもない暗がりの中でもとうとうと手紙をそらんじるシラノ。
ロクサアヌはかつて自分に愛の言葉を贈り続けたのはシラノだと、自分が恋をしたのはその言葉をつむいだシラノだったとやっと悟るが、シラノはそのとき、頭に怪我をおっており、ロクサアヌの前で息をひきとるのだった。

…というお話です。詳しく正しく知りたい方は、本を読むなりしてくださいね。

【感想】
平澤さんにとっても人生初めてのバレエ出演でしたが、わたしにとっても人生初めてのバレエ観劇でした。1部の「妖精の接吻」は、オーソドックスなバレエ作品って感じで美しい作品でした。感想はひとことでいうと「おお、これがバレエ!」

休憩をはさんで上演されたシラノは、まったく違ったテイストの作品でした。最近よく観るダンスアクトのステージに「役者」(平澤さんね)がひとり入っているという感じで、面白いステージでした。
シラノのストーリーをまったく知らなければよくわからないところが多いと思いますが、パンフレットに書いてある程度の内容がわかっていれば、とても興味深く楽しめるステージだったと思います。
なんといっても!平澤さんが主役よ主役なのよ!

幕開きからたったひとり舞台のセンターに登場して「我はシラノ!」という自己紹介(?)の独白、きゃーきゃー平澤さん主役だわ!と既にここで感動しているわたし。
そしてこの次の登場では、なんと、客席登場です。場面は劇場、キザな人気歌手がロクサアヌに色目を使うのが許しがたく、シラノは客席から得意の毒舌で、激しい野次を浴びせるという場面です。客席登場なんてバレエじゃありえないんですよね?だいたい台詞があること自体、異色だとは思いますが。さて、客席から舞台に上がるんだけど、どこにも階段なんてない。どこから上がるのかしらと思ってたら、舞台の高さなんか関係なかったようで、たいした助走もなくそのまんまぽんって舞台に跳んで上がってました(笑)

それから、闇夜の場面で、ロクサアヌに愛を語るシラノですが、この場面の演出がすごいです。天井から降りてきたロープに乗って、宙吊りになるのです。平澤さんもそうなんですが、ロクサアヌもロープを使って空中に浮かんで踊ってます。愛の言葉を語る平澤さんも観たいし、クリスチャンとロクサアヌのダンスも観たいしでちょっと困りました。
ここの詩情に満ちた愛の言葉が流れるように美しく、平澤さんの声でこんな優しい響きに満ちた台詞が聞けるなんて…じーんとしました。

かなり高いところまで上がるので、ロープに乗って空中に上がるの怖くないですか?って聞いたら、「台詞に集中しているから怖さは感じない」とのお答えでした。なるほど。ここの平澤さんシラノの表情、切なく優しく、よかったです。

剣を使っての殺陣というか戦闘シーンはありましたが、シラノが踊るダンスらしいダンスはほとんどなかったです。ちょっと動きで絡むくらいでした。 マントをひるがえしつつ剣で闘うところはやっぱりカッコよかったですね。
衣裳は、平澤さんは普通にお芝居で着るようなシラノの衣裳、赤いマントに、羽飾りのついたつば広の帽子、大きな鼻をつけてました。平澤さんはほとんどの場面でつば広の帽子をかぶっているので、 顔が見えにくくてちょっと残念でした。 帽子を脱いで演じるところもありましたので、その場面では大きな鼻も オールバックの髪型も(笑)、表情もよく見えましたが。
シラノ以外の人は、ロクサアヌはドレス、ド・ギッシュ伯爵とモンフルウリィのふたりは普通の衣裳でしたが、その他の人は、クリスチャンも含め男性は上半身はだかで、下はスカートのような変わった衣裳、女性は下はパンツスタイルで、上はノースリーブの衣裳という、お芝居の内容とは関係のない斬新な衣裳でした。 クリスチャン役の黄凱さんは先日の懇親会のときに平澤さんがおっしゃっておられたとおり、綺麗な男の人でした。

実際にステージを観て、バレエダンサーの方々に動きで絡むことができて、役者として芝居ができる、なるほど平澤さんがキャスティングされたわけだわ〜と納得。踊る平澤さんが観られなかったのはちょっと残念でしたが、とにかくわたしとしては、さっきも書きましたが、平澤さんの語る美しい愛の言葉が聞けたことがなによりうれしかったです。やっぱりわたしは平澤さんのお芝居もとても好きなんだなぁってあらためて思いました。
台詞を言うのは平澤さんだけで、台詞は、最初の口上と劇場での野次、 ロクサアヌへの愛の言葉、手紙の暗誦、これだけだったのですが、 なんだかとても心に残るステージでした。

ご覧になったみなさん、感想聞かせてくださいね。 共演のバレエダンサーのみなさんや普段ミュージカルを観ることのない観客のみなさんは、平澤さんのシラノ、どうだったんだろう?回りのみなさんにインタビューしたかったくらいです。ほんとどう思われたんだろうなぁ?
と、思っていたところ…クリスチャン役を演じられた黄凱さんがご自分のブログにて、打ち上げでの平澤さんとのツーショット写真を載せておられて、黄凱さん、平澤さんのことも語ってくださってます。なんだかとってもうれしいです。 黄凱さんのサイト 《2005.11.24》

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