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青山円形劇場プロデュース

a la carte [ア・ラ・カルト]

〜役者と音楽家のいるレストラン〜

内容の詳細とわたしの感想です。内容説明はあくまでも舞台を観たわたしの印象と記憶と解釈によるものです。実際の脚本や演出の意図とは異なるかもしれません。その点をご了承のうえお読みください。ご意見ご感想(苦情でも)がありましたらメールにてお願いします。間違ってることを書いてたらぜひぜひ教えてくださいね!
ごあいさつ
Open the Door (music by T. NAKANISHI)
ここはレストラン。ピンクのテーブルクロスがかけられたテーブルが3つ。丸く形作られた花飾りが天井から二つぶら下がっています(大阪ではポインセチアの鉢植えが二つ置いてありました)。
奥からミュージシャンの方々が現れて、音楽が流れると支配人役の白井晃さん登場。自己紹介と12年目を迎えた舞台「ア・ラ・カルト」の紹介、そして音楽監督であるバイオリンの中西俊博さんの紹介をします。青山円形劇場では周り中がお客さんなのでくるくる回りながら挨拶をされていた白井さん。この円形囲み客席は、10周年を迎えた翌年の新装開店のとき(つまり11年目)からだそうです。
人生は一期一会、誰とともにテーブルを囲むかであるという言葉もあるように、この舞台はある日のレストラン(東京ではクリスマス、大阪では年の暮れの一日)にて、ひとつひとつのテーブルにスポットを当て、そこに繰り広げられる人間模様をひとつづつ「ア・ラ・カルト(単品料理)」になぞらえ、お芝居と音楽で描いたものです。

さあ、レストラン「ア・ラ・カルト」の開店準備が始まります!

Aperitif

Poseidon (music by T. NAKANISHI)
軽快な音楽とともに飛び出してくるウエイター姿の高泉淳子さん、続いて現れる同じくウエイター姿の陰山泰さん。霧吹きで花飾り(大阪ではポインセチアの鉢植え)に水をやったり、身づくろいをしたりテーブルの掃除をしたり。ダンスというか軽快な動きで楽しく魅せます。わくわくしますね。さてお皿を持って出てきた白井支配人。3人でお皿投げ(?)、見事です。わたしが観た中で一回だけ落としてましたね(^^;いつだっけ?…(笑)
もう少しお皿を持ってのパフォーマンスがあり(高泉さんて体柔らかーい)、そしてバイオリン中西さんのソロ。そのあと、シェフ姿の平沢さんが登場します。

平沢シェフは果物が入った箱を持って出て来て、その中の果物を使ってお手玉を披露します。ひとりでやって、そのあと陰山さんと組んで。お見事です!わたしが観た中では、平沢さん一回落としてましたね。あれは23日の夜だったかなぁ。終演後に聞いたらそのときが失敗2回目だったそうで、すごく悔しそうでした(失敗バージョンはそれはそれで面白かったんですけどね(^^;)。でもって、翌日は完璧でしたね(^^)。平沢さん、ああいう小道具使いがホントにうまい。だからこそ、自信があるだけに失敗は悔しいということね!
こういう場面、平沢さんてば、ひとりだけ時間の流れが違う?ってくらい動きがシャープです。

さて、そんなこんなで開店準備も整いました。ちょっとほの暗い舞台上、白井支配人が小さな卓上キャンドルを持って出て来て、各テーブルにひとつづつ置きます。そして天井をあおいで合図をすると、明かりがつき、ほんのりと明るくなります。この瞬間、毎回とっても好きでした。

 
開店
お洒落をした若い女性(高泉さん)がひとりで店に入ってきます。ホントはふたりで予約してるんだけど、待ち人は現れなくて、ひとりで来ることになってしまった。キャンセルすればよかったんだけど、なんとなく来てしまった。飲み物(フローズン・ストロベリー・マルガリータ)だけで帰ろうとする彼女を、支配人は「わたくしとお料理と音楽が、お客様のお相手をしますから」と引き止め、ぜひ食事もするように薦めます。このセリフを言われた彼女の反応は「・・・キザ!」(^^;でも支配人の薦めにしたがって食事をすることにします。

彼女、「大好物占い」というのに凝っていて、彼女は「スイカ」、待ち人の彼は「葡萄」なんだそうな。相性はいいらしい。思い切って自分から誘ってみたんだけど、彼は来ない。だめだったみたい・・・。

ちなみに「大好物占い」は生まれた日付でわかるんだそうで、5月21日生まれの支配人は「パイナップル」なんだそうです。「スイカ」の彼女との相性は「腐れ縁」(^^;
「相手にされないより腐れ縁のほうがまだマシね。」と言う彼女に支配人「まだ…マシ…なんでしょうか…」(^^;;
Yume no Naka he (music by T. NAKANISHI)

Main Dishes

僕のライオンハート
「ア・ラ・カルト」の定番キャラクター、お調子者のサラリーマン・タカハシと彼の愛する恋人(だと思うんだけど(^^;)のりこさんの物語。タカハシが登場したときの客席の「待ってました」という雰囲気が忘れられません。続いてのりこさん。またまた「待ってました」の雰囲気(^^)
以前からタカハシとのりこさんは遊◎機械のHPで話題にちらちら出てたんですよね。でも「ア・ラ・カルト」今回初体験のわたしは、「へええ、人気の定番キャラなんだなぁ」くらいに思ってました。が、観てびっくり。タカハシが高泉さんで、のりこさんが白井さんとは・・・。意表をついてましたね〜。知らずに観たのでホントに・・・。「あああ!そうだったのかぁぁ!」って(^^)

このふたり、本当に面白いですよ。性別を交換することで極端な体格の違いなど面白い効果が出ているのももちろんなのですが、いかにもな男装女装で笑いをとるんではなくて、このふたりはきっぱりと成りきっています。爆笑の連続でホントに面白いんですが、そういう性格の男女の役ということであって、面白いのは男装だから女装だからじゃないんです。こんなカップル、いてもおかしくない。うまく表現できなくてもどかしいですが、とにかくわたしはこのお二人の役者魂に惚れております。素晴らしい!

さてお話です。
タカハシとのりこさんはもう長いつきあいのようで、そろそろ結婚かって状態だったみたいです。…1年前までは。
なのに1年前、このレストラン「ア・ラ・カルト」でタカハシはお得意先の滝山さん(滝山雪絵さん、前回出演)とデートをしてしまいました。それを知ったのりこさん、当然お怒りになり、タカハシは1年間の絶交を言い渡されてしまったのでした。1年間本当に口をきいてくれなかったのりこさんですが、つい最近タカハシのもとにのりこさんから一枚のカードが。「来れるもんなら来てみろ!のりこ」
名誉挽回のチャンスとばかり意気揚揚とタカハシは1年ぶりにレストランに現れます。

ウエイター陰山さんと昨年の思い出話(?)などしていると、のりこさんがレストランに現れ、再会がうれしいタカハシは、一緒のテーブルにつこうとしますが、つれなくされます。タカハシはこの1年間どんなに反省し、のりこさんを愛しつづけていたかわかってもらおうとお寺のスタンプをのりこさんに見せます。なんとタカハシ、今年のお盆休みを返上し、四国をお遍路して回ってきたそうな。のりこさんは一瞬「すごいじゃない!」と心を動かされかけますが、よく見ると、お寺のスタンプは11番で終わっています。たしかお遍路は88箇所。
なぜかというと、あまりの猛暑にタカハシ、途中で日射病にかかってしまい帰ってきたそうな。
「へなちょこ!」とけなすのりこさんに、でもその分8倍の思いをこめてお寺を回ったんだというタカハシ。そんなタカハシをのりこさんは「そう。それで気がすんだんだ。それで気を許したわけだ…スッチーに。」とねちっと責めます。言葉につまるタカハシ。

タカハシったら、お遍路の帰りに松山からポケモンジェットに乗って帰ってきたそうなんですが、飛行機に酔って気分が悪くなったとき、スチュワーデスさんが親切にしてくれて、それがきっかけで親しくなり、スチュワーデスさんを集めて合コンしたそうな。のりこさんはそのことを知っておりました。「ネタは割れてんだよ!」とのりこさんが今まさにタカハシをつるしあげようとしたとき、ウエイター陰山さんが現れ、タカハシ危機一髪(^^;

さて、タカハシは料理の注文のとき、のりこさんが注文しようとするものを見事に選んで、ちょっと名誉挽回します。タカハシはのりこさんが12年間ここで注文したものを表にしてこの1年間、毎日シュミレーションを繰り返し、今日に備えてきたそうな。「僕がのりこさんを取り戻すための、愛の修行?」なーんてタカハシのセリフに、照れながらお互いをどつきあう二人…ほ、ほほえましい…(^^;;

「わたししか愛せない証拠を見せて」とのりこさんに携帯をとりあげられてしゅんとするタカハシ、でものりこさんと同じテーブルにつけたのがうれしくて幸せなタカハシ。お調子者で、落ち着きがなくてどうしようもない奴ですが、憎めないキャラクターですね。そばにいたら迷惑なヤツだと思うけど(^^;
のりこさんに静かにするように言われ、ウエイター陰山さんがワインをあけている間の沈黙に耐えられなくなったタカハシがつい歌ってしまったSMAPの「ライオンハート」。わたしは大晦日に紅白歌合戦を見ていて、SMAPがこれを歌い出したときは一気に「ア・ラ・カルト」モードになっちゃいましたね(^^;。それにしても、のりこさんに「なんでアンタがキムタクなのよ!」って言われて「中居くんです。」と答えるタカハシの間とかもう絶妙で、何回観ても笑ってしまいました。タカハシによるワインのテイスティングも、何回観ても面白い。

乾杯もして、いい雰囲気に戻れたのかなーと喜ぶタカハシに、のりこさんは「わたしねぇ、お見合いしたんだ」と告げます。お見合いの相手はオダさんって言って、のりこさんよりも背が高くてがっちりしていて、優しくてとってもいい人。で、その人と婚約しようかと…。それを聞いたタカハシ、呆然自失…しながらも、懸命に立ち直り、のりこさんを祝福しようとします。

「好きな人の幸せを願えなくて、誰が好きと言えよう!」

このタカハシのセリフは、胸を打ちますね。やるなぁ、タカハシ…。
ショックを乗り越え、ひたすらにのりこさんを祝福するタカハシにのりこさんは当惑ムード。そうじゃなくって…のりこさんの言いたかったのはそういうことじゃなくて。僕に黙って勝手にお見合いなんかしてと怒ってほしかったのに。「タカハシ、なんで怒らないのよ!!僕のことなんだと思ってるんだって怒ってわたしのこと、ぶってみなさいよ!!」とのりこさんはタカハシに迫ります。怯えるタカハシ。

のりこさんは今日タカハシのために、プレゼントを持ってきていました。のりこさんが署名捺印した婚姻届。保土ヶ谷のおばさんに証人になってもらってるし、あとはタカハシが署名してハンコを押すだけでいいようになっています。でもタカハシはそうと気づかず、ひたすらボケています。たまらず泣き出してしまうのりこさん。のりこさんは包容力のあるオダさんとおつきあいをするようになって、やっぱり自分にはタカハシが必要なんだ、わたしがいないとだめなんだって思わせてくれるタカハシが必要なんだと悟ったのでした。だからそう思って今日ここに来たのに、いざタカハシに逢って一緒に食事をしていると、なんだかイライラしてきて、やっぱりタカハシを許せない気持ちになったそうな(^^;・・・「だからそれ返して?」と迫るのりこさんに、嫌だ!返さない〜と拒むタカハシ。取り合いの末、婚姻届は破れてしまいます。

「あ〜っ!!破れちゃった〜!!」と泣きながら出て行ってしまうのりこさんと、破れた婚姻届をくっつけようと取り乱すタカハシ。
…そこへのりこさんが静かに戻ってきます。

「…あんたがわたしのこと怒れるようになるまで、本当に必要だって言えるようになるまで待ってやるから。これとっときな!」とのりこさんはタカハシに折りたたんだ紙を渡して「返事待ってるからな…」と微笑みを残し去って行きます。呆然と見送るタカハシとウエイター陰山さん。「こ、こわい…」と怯えながらタカハシが渡された紙を広げてみると、それは婚姻届。
やっぱりのりこさん…僕のこと…。ウエイター陰山さんに励まされ、のりこさんを追いかけるため走り去るタカハシ。「のりこさん!僕のことなんだと思ってるんだ!」と叫びながら。
Phony Phony (music by T. NAKANISHI)
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