忘れモノ 探しモノ


●ストーリー展開、結末をはっきり書いています。舞台を未見の方で知りたくない方は読まないでください。
●場面の説明などはわたし個人の観劇の記憶・印象と解釈によるものです。(参考資料:パンフレット)
●実際の脚本・演出とは違う点が多々あると思いますし、記憶違いや思い違いなどもあるかもしれません。
●それ違う〜などお気づきの点があれば、ご指摘ください。よろしくお願いします。

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【ACT1】

ジェラードの部屋

がさごそパリパリ、暗闇をうごめく気配。ここはNYに住む探偵ジェラード(平沢さん)の部屋。
主のいない暗い部屋では、ゴキブリシスターズのお食事タイム&ダンスタイム。 と、そこに殺虫スプレーが。逃げ延びてくるシスターズ。 ひとしきりシスターズの自己紹介『M0 ラ・クラカッチャ』が繰り広げられます。 (今書いていて、ふと疑問に思ったのだが、ジェラードは部屋にいないはずなのに、 誰が殺虫スプレーをまいたんでしょう?)

シスターズによるこの部屋とジェラードの紹介『M1 ROOM NUMBER 4C(People of Down Town)』
ジェラードが部屋に帰ってくる。変装をして張り込みをしていたジェラードは、 大家さんの犬(だと思う)に吠えられズボンを噛まれて破れてボロボロの姿。 穿き替えようとパンツ姿(^^;)になったところに電話がかかってくる。 ここどうしても平沢さんの脚を見てしまう・・・(わたしだけじゃないよね?ね?) ふとももの筋肉とか・・・たくましいなぁ〜・・・(*^^*)と。はい、話戻って。 仕事の電話だったが、受け答えに失敗して仕事をふいにし、クライアントにも見放され、 お先真っ暗なジェラード。

部屋には大好きな映画のポスターが貼られている。キングコング、アル・カポネ、エルビス・プレスリー・・・。 映画のヒーローに憧れ、映画のヒーローのように殉職した警察官の父親に憧れ、 自分も警官になったものの血を見て倒れるくらい向いてなくて挫折。 探偵の仕事もうまく行ってない。『M2 僕の探しているモノは何?』
どうせ僕はだめなんだ、生きていてもしょうがない・・・死ぬしかない。 いっそ窓から飛び降りて!(あ、地下室だった)ナイフは!(あ、さびてボロボロ) そうだ、最後くらいハードボイルドに拳銃!(あ、今朝地下鉄の駅ですられた)・・・ しょうがない首をつって・・・と決心したそのとき。部屋の鍵があいて男が入ってくる。 トイレに駆け込む男。呆然とするジェラード。 トイレから出てきた男は、自殺しようとしているジェラードを止め(このあたり、 ふたりのやりとりがなんか笑えます)、説得を始める。

男の名はセルゲイ(大森さん)。ユダヤ系ロシア人の医者。
彼に、世の中にはもっと大きな苦しみがある!『M3 暗闇の向こう側』と、 とうとうと説得され生きる希望がわいてきたジェラード。 では診断書を書いておくというセルゲイに名前を聞かれジェラードは答える。
「名探偵、ジェラード・マストロヤンニとは僕のことさ!」『M4 僕は迷(?)探偵』 ここの平沢さん、歌って踊る平沢さん!!かっこつけてるけどでもドジな「迷」探偵って 歌なんだけど、かっこいいの〜!!そんなかっこいいダンスってわけじゃないけど、 ジェラードはドジなんだけど平沢さんはかっこいいのよ!(きっぱり(^^;…ははは。 ほとんど意味不明ですね〜)ジェラードの歌にセルゲイが茶々を入れて、 シスターズがコーラスをつけます。

セルゲイに説得され元気が出たジェラードはいったん納得して出て行こうとするが、 ふと気づいて問う。「どうしてあんたがここに残るの?」「ここはわたしの部屋だから」
え?ここはたしかに僕の部屋、でもどうしてこの男はこの部屋についてこんなに詳しい? 部屋の鍵も持っている。そのうえ、セルゲイと名乗るこの男は自分のこれまでの行動に ついてはっきりと答えることができない。お金も持っていない。納得できないことだらけ ながら、とりあえずジェラードは、彼にお金を貸してホテルに泊まらせることにする。 そのお金は家賃を払うために出してきたお金だというのに。

ふたりが出ていったあとシスターズが歌う。自分のこともちゃんとできないのに、 ひとのことばかり気にしてお人よしのジェラード、と。『M5 ROOM NUMBER 4C(reprise)』

次の日。ジェラードの部屋

大家の三婆(ってジェラードが言ってたのよ〜)(田中利花さん・福島桂子さん、美月ノアさん)に家賃を払えと責められる ジェラード。そのお金は昨日セルゲイのホテル代になってしまったので払えない。 大家にはなんとか帰ってもらうが、クライアントからの電話でまたジェラードは仕事で 失敗したことを知る。クライアントにも迷惑をかけて、どうせ僕はダメなんだ…死ぬしか ない。前日の繰り返し。でも首吊りも失敗。そうだ、ガス自殺!ガス管を持ち出し、さあ …と決心したところに、また鍵を開ける音。入ってくるセルゲイ。これまた前日の繰り返し。

昨日と同じようにここは自分の部屋だと主張するセルゲイ。お互いに譲らず『M6 MY ROOM』。 このナンバーはラテン風でテンポよく楽しい曲です。好きなの〜。 僕の好みのチョッコレートッってつい口ずさんでいます(^^)
さて、どうしても自分の部屋だと主張するものの、どうもセルゲイの言っていることは おかしい。ジェラードが大好きなエルビス・プレスリーのこともセルゲイは知らない。 壁のポスターを見て「なんだこれは?男か?」と言われ、ここでいきなりジェラードは エルビス・プレスリーになるのでした。金色に輝くジャケットを着、もみあげをつけて スタンドマイクでエルビス様になり歌い踊るジェラード『M7 I LOVE ELVIS』。 同じく金色ジャケットを着たシスターズのコーラス付き。

そこまでしたのにエルビス・プレスリーの魅力を全然理解しないセルゲイなのでした。 そのセルゲイが好きな歌(ナットキングコールの…?)、セルゲイは最新ヒットだという その曲は5年前1951年のヒット曲。今は1956年。 どうやらセルゲイの記憶は5年前で止まっているらしい。『M8 1956』
言い争っているだけじゃらちがあかないとジェラードは、セルゲイを知っているらしい 大家の三婆のところへ事情を聞きにいくことにする。 ひとり残されたセルゲイはソファに横になる。

ジェラードが出ていってからの3時間。 暗くなった部屋で眠るセルゲイの回りに集まってきたゴキブリシスターズ。 この男、ひいひいばあちゃん(田中利花さん)が言っていたあの男じゃないの?昔ここに住んでいて、 人間にもゴキブリのあたいたちにも優しかったあの男。 よくサックスをふいていた…『M9 ひいひいばあちゃんの話』

さて大家から話を聞いて部屋に戻ってきたジェラードは部屋が荒らされているのに気づく。 どうやら誰かが入り込んだらしい。眠りこけていたセルゲイはその間のことを何も 知らないし3時間前のこともすっかり忘れていて、また一から説明しなくてはならない。 めんどくさいなぁ、まったく…。

2日後。ジェラードの部屋

これまでにわかったことをジェラードはセルゲイに説明している。この2日間、 ふたりは一緒にセルゲイのことを調べていた。ジェラードの調査によると、セルゲイが 勤めていた病院「ハワード・スミスホスピタル」は郊外に移転していた。 そして病院の記録をさかのぼってみてもセルゲイの名はまったく出て来ないし、 病院関係者はみな口を揃えてセルゲイのことを知らないと言う。いったいどういうことだ。 自分はいったい誰なのか?苦しむセルゲイ。『M10 私は誰なのか?』
そうこうしているうちにいきなり部屋が真っ暗になり、怪しい人影に襲われる二人。 しかしすかさず机の下に隠れたセルゲイは無事で、ジェラードはひとり襲われるのでした。『M11 The BATTLE』 このあたりの動きは平沢さんならではですね。暗くてよく見えないのが残念ですが(^^;

これでACT1は終わりです。ゴキブリシスターズの『M12 忘れモノ 探しモノ』の歌で幕。

【ACT2】

2幕は殺虫スプレーから始まります。殺虫スプレーに追われて客席通路から現れるゴキブリシスターズ。 客席に現れるシスターズのみなさまはそれぞれお客さんに絡みつつ 舞台に到達するのですが、わたしも千秋楽には斉藤レイさんに絡んでもらいました(^^)
シスターズの「どうしてわたしたちゴキブリは嫌われるのでしょう。どうして人間達は 無駄な争いや殺戮をするのでしょう。でもわたしたちは強く生きるわ!生きてりゃ いいことあるわよ」という歌とダンス『M13 忘れモノ 探しモノ 嫌われモノ』。 いいことって食べ物の話ばっかりっていうこのナンバー、楽しくて好き(^^)。 春には苺、夏にはかき氷、秋には月見だんご、冬にはてっちり鍋!

ジェラードとセルゲイの部屋

さて、買い物をして部屋に戻ってきたセルゲイとジェラード。 ジェラードは昨日暴漢に襲われ怪我をし、手に包帯を巻いている。
襲われたのはセルゲイのほうだったかもしれないし、何が目的なのかもわからない、 このままでは危険だし、お金もかかるからとふたりは共同生活をすることにした。 部屋は真ん中でカーテンで仕切られている。セルゲイはすっかり忘れてしまっているが、 身の回りのものを買い揃えてあげたのはジェラード。手帳をなくしたセルゲイのために 新しい手帳を買ってやり、「セルゲイの記憶の手帳」と名づけたその手帳には、 セルゲイ自身の手で覚えておくべきことを書いてもらうことにした。
今のところその手帳がセルゲイの全て。

セルゲイがかつて勤めていた「ハワード・スミスホスピタル」は、今は移転して大きくなり 「スミス&スミスホスピタル」となっているが、どうもジェラードにはその名前に怪しいにおいを感じる。
ジェラードはつぶやく。名探偵はなぜターゲットを見失わずに尾行できるのか、 あったこともないはずなのに、一目で怪しい奴とわかるのか、それは怪しい奴からは ぷんぷんにおいがするからだ。それはまるでゴキブリのメスがオスを惹きつける フェロモンのように!『M14 フェロモン』このナンバーはすごいです。 斉藤レイさん、小野妃香里さん、坂田今日子さんの三人が、セクシーな衣装 (っていうか…詳しく説明できない(^^;)で美しい足をおしげもなく披露しつつ、ジェラードに絡むのです。 初見のときはかなりびっくりして、う、うわぁ〜…こういうのってダンサーならではよねぇ…と 思ってしまいました。

この間、セルゲイはずっと手帳を読んでいる。 そして手帳に自分が書いたことにショックを受けている。昨日のことも記憶のない自分。 昨日をなくしてしまってどうして明日を生きることができるのか…セルゲイは歌う。 『M15 昨日 今日 明日』 明日に希望を失っていたジェラードの思いともシンクロしてふたりの歌となる。
この歌、雰囲気いいんですよ。大森さんの声と平沢さんの声って合うんですよね。 内容は切ないんだけど、心地いいです。

そんなとき、セルゲイに来客がある。 騒がしいロシア人の三人組(田中利花さん・福島桂子さん、美月ノアさん)で、 ハワードスミスホスピタル時代のセルゲイの患者であった。 三人の話からセルゲイは三年前、郊外のウォルフェンバックホスピタルにいたらしいことがわかる。 新たな病院の名前。 しかもそこは共産主義者と疑われたロシア人を一時かくまってくれるところだったらしい。 三人が帰っていったあと、プレゼントしてくれたサックスの響きを懐かしむセルゲイ。
ジェラードはひとりつぶやく。 …怪しい。ぜったいにそこには大きなヒミツが隠されているに違いない。 ジェラードはウォルフェンバックホスピタルに行く決心を歌う。『M16 ヒ・ミ・ツ』 このナンバーはセルゲイ大森さんのサックス演奏に続きます。
そしてジェラードはカーテンの後ろに。そして演奏も大詰めになったとき、カーテンが ひかれ、現れたのは…背中もあらわな金ラメのドレスを着た金髪の大柄美人(!?) …ジェラードの女装姿でありました。ここはね、爆笑ものなんですが、 わたしの文章ではまったくこの衝撃伝わらないですねぇ…。

さて、場面かわってここは病院の廊下。

看護婦さんたちの会話を盗み聞きするおばさまひとり(ドレス姿ではないが(^^;)。 (ここのおばさまスタイルも妙に似合っている平沢さん…なんか、こんなおばさま いてもおかしくないかも…(^^;)どうやらここに入院していて今は行方不明になっている 患者がセルゲイらしいのだ。おりしも季節はずれの大掃除が行なわれ、病室から出たゴミ が始末されようとしているところ。しかも、その怪しい入院患者のいた部屋だけは、 ほかならぬ婦長さんが掃除をしているらしい。ゴミは人生の縮図、それこそ情報の宝庫、 とゴミあさりに向うジェラード。
ゴミ置き場に現れたジェラードは浮浪者姿。ここは踊ります。短いんだけど、素敵ですの(*^^*) 『M17 ガーボロジーダンス』
掃除夫たちに見咎められるが、ジェラードはなんとかごみを集めて逃げます。

雨の日。ジェラードとセルゲイの部屋

ジェラードの部屋ではセルゲイがひとり。
そこに浮浪者姿のジェラードがごみをかついで帰ってくる。(わたし、じつはこの場面すっごく好きなんです。) またジェラードのことを忘れてしまっているセルゲイが、ジェラードを精神科の患者だと 思って、ごみあさりも好きなようにやりたまえと言ったとき「なんか今日は素直だね」っ て笑うジェラードの顔とか、探偵として自信の出てきたジェラードが生き生きとゴミを 叩くときの様子とか(言ってること細かい?)、ゴミをめぐってのセルゲイとジェラード のなにげない会話とか。
そしてゴミの中からセルゲイが書いたレポートを見つけて彼の秘密を知ってしまうジェラード。 セルゲイは胃の手術の際の医療ミスで、前向性健忘を発病していた。 現在の記憶を保持することができず、2時間から3時間で記憶は失われてしまう。 そしてそんなセルゲイをスミスとウォルフェンバックは金儲けのために利用していた。 ウォルフェンバックが話しているのを聞いて知ったセルゲイは、そのとき忘れて しまわないうちに全てを書きとめておいたのだ。

何も知らず無邪気な様子のセルゲイに対するジェラードの思い。こんなこと知らなければ よかった。僕はただ君の役にたちたいと思ってきたのに、僕はどうすればいい… 『M18 どうすればいい』このジェラードの歌には泣けてしまいました。

別の日。ジェラードとセルゲイの部屋

部屋でセルゲイはひとり医学書を読み、前向性健忘について調べている。感情に 伴った記憶は残りやすいという。これは書きとめておこう!と思ったとたん、あれ?なぜ こんなこと調べてるんだろう?となるセルゲイ。なんとなくうろうろしているうちに ジェラードの机の中の「マル秘」と書かれた封筒を見つける。好奇心にかられて中を見てしまう。 中にはセルゲイの秘密が書かれた例のレポート。
自分が記憶障害であるうえに、自分を信頼してくれたロシア人の仲間を知らないうちに 裏切っていたことを知ってショックを受けるセルゲイ。ウォルフェンバックとスミスは、 セルゲイがすぐ記憶をなくすのをいいことに、ロシア人たちがセルゲイを信頼して預けて いった手紙や品物を奪って、共産主義者を密告する材料として売り渡していたのだった。 動揺していてもたってもいられなくなったセルゲイは、出て行こうとするが、部屋に帰っ てきたジェラードに止められる。「あんたのせいじゃないよ」

セルゲイはもちろんもうジェラードのことを覚えていない。ジェラードは自分がその レポートを見つけてきたこと、いきさつについて説明する。全てを知って苦しむセルゲイ。 自分のせいで大勢のロシア人がつかまっている、それなのに、自分は何も覚えられない、 何も知らない。こんなことは耐えられない。君に俺の気持ちがわかるものか。という セルゲイに、「わからないよ。でもこれだけはわかる。あんたのせいじゃない」とジェラード。

もみ合っているうちにジェラードのポケットから拳銃が落ちる。どうしようもできない 現実に悲観して拳銃自殺をしようとするセルゲイととめようとするジェラード。 そしてセルゲイは誤ってジェラードを撃ってしまう。「あ…」と思うが、ジェラードは 息をしている。空砲だった。ジェラードはつぶやく。そうだ、僕はあんたよりずっと前に 死のうとしてたんだ…でも今、生きていてよかったと思う。あんたのおかげで僕は探偵としての自分の仕事に自信を持つことができたんだ。こんなに探偵らしい日々は初めてだった。 僕だってやればできるんだ・・・。

そんなジェラードにセルゲイは、自分を見失い暗闇に吸い込まれていきそうな不安を うったえ、「助けてくれるか、ジェラード…」と、ジェラードの名前を呼ぶ。 「もちろんだよ、これまでだって・・」と言いかけて気づくジェラード。
「僕が誰だかわかるのか!?」「君は・・・ジェラードなのか?」

セルゲイはジェラードのことを忘れていたはずなのに、そういえばいつもひとりきりで 不安なとき、いつも君の姿が側に見えていたような記憶がぼんやりと・・・ 『M19 君の中の僕』セルゲイとジェラード、ふたりの歌です。

セルゲイは思う。わたしはこの衝撃を覚えていけるかもしれない。 感情の伴った記憶は残りやすい、そう医学書にも書いてあった。わたしの記憶の中にわたしはいなくなってしまっても、君の記憶のなかにはわたしがいるんだな。5年間、 自分にとっては空白の時間なのだけれども、出会った人たちのなかには、自分は存在しているんだ。 ジェラードは言う。だから一緒にその人たちを探していこう。裏切った人たちには 殴られるかもしれないけど、それこそがあんたが生きてきた証だよ、と。
セルゲイは決心する。もっとつらい思いがこれから待っているかもしれないけれど、 それでもかまわない。自分をしっかりと見つめていきたいから。
そして、気持ちが通じ合ったふたりは、肩を組んでウオッカを飲みに出かけていくのでした。

泣かせます。この場面。それと、ここの最後のベタなギャグ、けっこう効いてます(^^;具体的には書きませんけど〜。 白熱したやりとりとじん…とくる展開のあとにこのギャグとは…好きですよ、わたしは。

ゴスペル

そして、ふたりがいなくなった部屋に現れるゴキブリシスターズ。彼女達は言います。
セルゲイはまた忘れていく。でも一番大切なことはもう忘れない。自信を取り戻した ジェラードももう大丈夫。わたしたちは長い時をずっと生きてきて、人間達を見つめて きた。そう。小さなことにとらわれて大切なことを見失っている人間達に、 忘れていたモノを探し出してほしかったの。
そしてゴキブリのボス・田中利花さんが歌う『M20 ゴスペル・ソング』
途中からたくさんのゴキブリシスターズJr.とでもいうべき若いゴキブリさんたちが 大勢出てきてダンスと、そして合唱となります。
このゴスペルは賛否両論というか観る人によって感じ方が別れた部分でした。 わたしも最初はせっかくのお芝居の流れが…ってもったいなく思ったものだけど、 千秋楽にはもう純粋にめいっぱい楽しめる場面になっていましたね。 慣れたということなのかもしれません。でも理由の分析なんてどうでもいいです。 自分が心動かされ楽しめたという事実が大切だから。
たくさんのゴキブリさんたちの生き生きとした表情、ノリのいい曲と、それと 歌詞がいいんですよ。今日を生きているあなたには明日を生きる力がある。 生きている喜びを感じて。忘れている大切なものを探し出して…。

再びジェラードとセルゲイの部屋

さて、ゴキブリたちの大騒ぎが終わって静かになったところにジェラードが帰ってくる。 ゴキブリがいた気配に「また、来てたな〜」と殺虫スプレーをまこうとするが、思いなおす。 「ゴキブリたちも今日を懸命に生きてる命だ」
と、そこにドアを開けて入ってくるセルゲイ。ジェラードを見て 「あっ…えっと…君は…ジェ?」もうちょっとなのに〜でもやっぱりセルゲイ…
「誰だっけ?」…ガックリ(^^;。
で、幕。

このラストシーンは、こんな風にやっぱり苦労は耐えないんだけど、ふたり前向きにがんばってるんだよねと 思わせていいですね。安直なハッピーエンドではないのだけど、さりげなく笑わせて、とても後味がいいのです。 《1999.12.10》



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