Wine マダムとクリスマス(東京)/マダムとあなたとワインで乾杯(大阪) |
休憩も終わりに近づくと、白井支配人と陰山ウエイターはテーブルの用意などしています。ふと客席を見ると、ゴージャスなドレス姿の女性がいてうろうろしたり、お客さんと歓談したりしています。 「マダム、マダムじゃありませんか。」と声をかける支配人。その女性はマダムジュジュ(高泉さん)。毎年の定番のお客さんのようです。 支配人曰く「アコヤ貝に挟まれたシシャモ」風のドレスをお召しになったマダムは、昨年までは待ち合わせの相手に待ちぼうけばかりだったので、今年からは「人生の時間がもったいない。待つのはやめてアタックあるのみ」と方針変更。 というわけで、お客さんの中からひとり男性をお呼びになり「一緒にワインを飲みましょう」という企画の場面となっています。協賛企業のキリンシーグラムの赤ワインが出されます。 乾杯して記念撮影もし、その写真を男性にプレゼント。マダムのサイン入りです。マダムってば自分のメールアドレスも渡したりして、いい雰囲気になったところで、バイオリンの中西さんをあらためて紹介。そしてマダムからのリクエストで中西さんが演奏するのはピアソラの「Oblivion」。日本語で言えば「忘却」。バイオリンの調べがとっても美しく切ない曲です。マダムは自分でリクエストしておきながら、聞いているうちに昔の思い出が甦ったようで、突然「捨てないで捨てないで…」と泣き崩れたりしておられました(^^; |
Oblivion Sen-Ya-Ichi-Ya (music by T. NAKANISHI) Dessert ママの結婚式 |
パパ(白井さん)と娘(高泉さん)のお話。 ふたりは結婚式に出席した帰り。娘のパパとママは離婚し、娘はママと暮らしています。でもパパと娘はとっても仲良し。今日の結婚式とはパパの元妻、つまりは娘の母親の結婚式でした。ママの新しい夫はエデュアルドといって、大学で環境工学を教えながら夜はレストランでジョビジョバを歌っているそうな。娘はママに「好きな人ができた」と言われたとき、複雑な気持ちになりましたが、ジョビジョバを歌うエデュアルドを見たらもうどーでもよくなったそうな(笑)。パパも、エデュアルドは13歳も年下だし(ママよりも年下らしい)国籍も違うせいかそんなこだわりはないよ。大丈夫だよと言います。 今日の結婚式の後、パパと娘はママのためにお祝いのパーティを開いて、パパがその司会でした。準備は大変だったけど、みんなが楽しかったと喜んでくれて、もちろんママも喜んでくれたのがうれしいふたり。今日はろくに食べる暇もなかったふたりでしたが、パーティが無事終わってほっとして、やっとゆっくり食事をしています。 そのパーティの中で、ふたりはパパが作った歌を歌うはずでしたが、パパが途中で歌詞を忘れてしまい、最後まで歌えなかったのでした。「自分で作っといて忘れちゃうかね?」と言う娘に「パソコンのソフト使って作っちゃったから」と言い訳するパパ。 ママのおとうさん(娘のおじいちゃん)は神主で、今日は自分の娘の結婚式ということで大はりきりで神主を勤めました。パパとママの結婚のときは、結婚式をあげず、親しい人だけの小さなパーティだけだったから、おじいちゃん、神主なのに自分の娘が結婚するというのに何もできないって泣いていたそうな。 ママはエデュアルドに歳を8つもごまかしていて、おじいちゃんも本当のことは言わんでいいと言っているらしく、「あれは詐欺だね」と言い合うふたり。(まあでも8歳ごまかして通るんだから、若々しくて綺麗な人なんだろうね、ホント。) ママはどうやら髭もじゃのワイルドな人が好きらしく、パパもママとつきあってた頃は髭をはやしていたそうな。ところが、髭を剃ってみるとポコちゃんにそっくりでママはがっかりしたらしい…(でも、それが離婚の原因ではないと思います(^^;それにしても、白井さんはポコちゃんに似ている!) 娘は今日の結婚式、デジカメでたくさん写真を撮りました。白無垢を着たママ、ウエディングドレスを着たママ、綺麗だったねと言いながら、娘はウエイター陰山さんにまで写真を見せます。「綺麗な方ですね〜どなたの結婚式ですか?」という素朴な質問に返って来た答えが「ママの。」…一瞬言葉につまる陰山さん(^^;。 さて、デザートの注文をとりにきたウエイター陰山さん。デザートの説明をします。あまりにとうとうと説明されたので、さっぱりわけわかんなくなったパパと娘。ひとつづつどんなものなのか尋ねます。説明を聞いて娘は「オレンジのプリン!」ときっぱり決めますが、パパはなかなか決まりません。どうやらパパは決めるのが苦手らしい。「もう〜また始まったぁ」と娘に言われながらも、パパは、製法は杏仁豆腐に似ているけれども全然違うらしい(?)「ココナツのブランマンジェ」が気になってしょうがありません。杏仁豆腐はいまいちだけど、でも全然違うってウエイター陰山さんは言うし、いったいどんなものか知りたい。さんざん迷ってやっぱりそのブランマンジェにすると決めます。娘は「杏仁豆腐みたいなものだって言ってるじゃない。スフレのほうがぜったいおいしいよ!」とパパに薦めますが、パパはいったん気になると、ちょっと違うかなーと思いながらもどうしても確かめずにはいられない性格のようです。(それでいつも失敗?) さあ、デザートが来ました。オレンジのプリンはすっごくおいしそう。ブランマンジェは?パパの前に出されたお皿に載っているものは……一目見て娘、「杏仁豆腐だね。」 「でも味はブランマンジェでございますから」とウエイター陰山さん。でも、なんとなく不満そうにお皿を凝視するパパ。その様子を見て「お取替えいたしましょう」とお皿を持って行こうとする陰山さんに「いえ!自分が決めたんですから。…しょうがないですから。」とパパ。 心痛めつつ、その場をあとにする陰山さんの後姿に追い討ちをかける「ねえ、あの人、杏仁豆腐じゃないって言ってたよね?…詐欺よね」と娘の一言。がっくりと肩を落とし去って行く陰山さんの後ろ姿…。 ちなみに食べてみると味は「ココナツ味の杏仁豆腐」というところだったらしい(笑) たくさん撮った写真の中で娘が一番好きなのは、ウエディングドレス姿のママを挟んでパパと娘が笑っている写真。不思議な感じだけど、とってもいいと思わない?とパパに同意を求めます。「そうだね」とパパ。この写真に今日歌えなかった歌を吹き込んでママにメールで送ろうよとの娘の提案(最近のデジカメってすごいんだ!)でその場で歌うことに。 「ママ幸せにね。パパは大丈夫だから。エデュアルド、ママを頼んだぞ!」という内容の明るい歌を歌うふたり。元気にママへの祝福のメッセージを吹き込むパパ。 終わってしばらくシーン…とする二人。パパは大丈夫だと言いますが、本当は大丈夫じゃないんだよね。パーティで歌えなくなったんだって、忘れたんじゃなくて泣いてしまいそうになったからだと娘はわかっていました。 娘は言います。ママが幸せになったんだから、これでいいんだよ。あとはパパがいい人見つけて幸せにならなきゃね。そしたらわたしはママがふたりでパパがふたりで、それでパパに弟か妹が生まれたりしたら……パパ、わたしのこと忘れちゃう? そんなことあるわけないよ。パパはいつまでたってもおまえのパパなんだから。 なにげない会話が心にしみる好きな場面です。こまっしゃくれてひょうきんなことばかり言う娘ですが、ホントはちょっと寂しいのですよね。パパが好きで、パパにも幸せになってほしいけど、パパが離れて行ってしまうのも寂しい。今日は、から元気のパパを心配して、パパが本当に元気になるまで泊まってあげるつもりでパンツを5枚持って来ています。 好きな人ができても、パパは決めるの下手だから…と心配する娘。そうだ。今日のこの杏仁豆腐の失敗を教訓にしよう。写真撮っておいて思い出そうという娘の提案で、パパは食べかけのデザートのお皿を持って失敗したという顔をして写真をとります。そして娘はデジカメにコメントを吹き込みます。「パパ!迷ったら、次の人」 再生した写真を見ながら娘は「パパ、変な顔〜……やっぱりポコちゃんみたい…」 さ、そろそろ行こうかと席を立つ二人のところに、ウエイター陰山さんがケーキの箱を持って現れます。杏仁豆腐じゃない他のデザートも召し上がっていただきたいと思いまして。と言う陰山さん。かなり胸が痛んでいたようですね(^^; ありがたくケーキをもらったふたりは、「じゃあ明日、杏仁豆腐食べに行こうか?」「中華街行って、それで今日の偽の杏仁豆腐と比べてみようよ!」などと話しながら出て行きますが、その会話が聞こえてしまった陰山さん、さらに胸が痛むのでありました。 |
Melody for you (music by T. NAKANISHI) Coffee ラストダンス |
年老いた夫婦(白井さんと高泉さん)がお互いを支えあうようにゆっくりと現れます。 テーブルのところまで来た二人。おじいさんがおばあさんをエスコートして椅子に座らせ、ほっとして自分も座ろうとする。すると、おばあさんが立ちあがっておじいさんの椅子をひこうとするので、また振り出しに戻り、おじいさんはおばあさんを椅子に座らせる。で、またおじいさんが座ろうとするとおばあさんは立ち上がろうとするので、おじいさんは必死で彼女を押さえながら座ります。静かで…さりげなくおかしい(^^;。 やっと二人とも座って落ち着いて、そしてお互いに贈り物をします。ふたりはさっそく包みをあけます。おばあさんからおじいさんへのプレゼントはマフラー、おじいさんからおばあさんへは口紅。マフラーはいかにも手編みで、おじいさんは取り出しながら首にかけていきますが、やたら長くて最後が尻切れとんぼになってたり。また、プレゼントされた真っ赤な口紅をおばあさんが震える手でひくので、かなりすごいことになってしまったり。その顔を見ておじいさんが言葉を失ったり…で、ちょっと笑いをとるのですが、そのあと、おじいさんは気を取り直して「綺麗だよ」って言い、そして「ちょっと踊ろうか」。お互いの贈り物で装ったふたりは踊ります。 |
Last Waltz (music by T. NAKANISHI) |
おじいさんは足を踏まれながらもおばあさんをいたわりつつ、なかなかハードなポーズもとったりして。わたしは観ながら、このふたりの若い頃やこれまでふたりで積み重ねてきた時間が見えるような気がしてしまいました。愛し合ってきたんだな…って思えて、すごくうらやましかった。中西さんのバイオリンが奏でる「Last Waltz」に乗ってふたりが踊るのを観ながら涙が出てしまいました。 踊り終わって向こうをむいたおばあさんの手をとろうとするおじいさんの手を、おばあさんはそっと頬に寄せます。何度観てもこの場面、じん…としますね。 ふたりはまたお互いを支えあうようにゆっくりと去っていきます。 そしてウエイター陰山さんが現れ、テーブルの片付けを始めます。ひとつづつテーブルの上のキャンドルを吹き消していき、最後のテーブルのキャンドルを吹き消そうとしてやめ、懐から煙草を一本取り出して、そのキャンドルの火で煙草に火をつけます。そして最後のキャンドルを吹き消し、ちょっと暗くなった舞台で陰山さんはひとり煙草をくゆらせています。この場面、すごくいいですよね。心にもほんのり灯りがともったような…そんな余韻が劇場内を満たしていたように感じました。最初の支配人の合図で明かりがつく場面と並んで、毎回とっても好きでした。 |
Degestif Smoke gets in your eyes 閉店 |
最初の場面の女性(高泉さん)のお話。食事も終わり、彼女はチェリーのブランデーを飲みながら支配人と話しています。例の「大好物占い」、支配人の奥さん(8月2日生まれだっけ?)は彼女と同じ「スイカ」で支配人とは「腐れ縁」(^^;。支配人は毎年クリスマス(大阪では「年の暮れ」)は家に帰ってから、夫婦でちょっとワインで乾杯するそうな。彼女は「いいですね。そういうの。本当ならわたしも彼とテタンジェのシャンパンで乾杯するはずだったんだけど」と言います。彼女、映画「ニキータ」を観てから、いつか彼とテタンジェで乾杯しようと夢見ていたんだそうです。でも、かなわなかった…。 そんな話をしていると、ウエイター陰山さんがグラス3つとボトルを1本持って現れます。「あのー…」と声をかける陰山さんに、彼女は「あ。もうお店おしまいね」と立ちあがろうとしますが、それをとめて陰山さんは「実は私、このシャンパンが好きで仕事が終わったあと飲もうと思っていつも用意してるんです」と彼女に瓶を見せます。それはテタンジェ。驚く支配人に陰山さんは目配せをし、やはり驚く彼女に「よかったらご一緒にいかがですか?」 いつも用意してる…ってそんなはずない。ウエイター陰山さんの優しい嘘ですね。 彼女は好意を受けることにし、じゃ、3人で乾杯しましょうと3つのグラスにシャンパンを注ぎ、乾杯しようとしたそのとき、レストランにひとりの男性が入ってきます。あ…!と目をみはる彼女。待っていた彼が来たんですね。「ごめんね、遅くなって。」と彼女にささやき彼はテーブルにつきます。 ウエイター陰山さんは懐からグラスを取り出し、彼のためにシャンパンを注ぎます。きっといらっしゃると信じていたのでしょうか。グラスをもうひとつちゃんと用意してたんですね。 あらためて「乾杯!」。この瞬間、劇場内は星空に包まれます(こんな表現でわかるのだろうか)。そして暗転。 いやぁ〜いいですよね!この場面。おわかりでしょうけれど、この「彼」が平沢さんです。 青山円形劇場ではこの暗転の前に天井が一面、星が煌くような雰囲気になるんですよ。とっても好きでした。それは近鉄アート館にはなかったので、ちょっと残念でした。 |
Cine qui Chante |
暗転のあと、明るくなると白井さん登場。出演メンバーを紹介します。まずミュージシャンの方々、細野義彦さん(Guitar)、北島直樹さん(Piano)、クリス・シルバースタインさん(Bass)を紹介し、中西さん、陰山さん、高泉さん、高泉さんによる白井さんの紹介、そして平沢さん。「華麗なダンスも披露してくれた」と紹介されていました。ホントに華麗だったわぁ(^^) この場面もタキシード姿です。 そして「あれこれアラカルト、何にいたしましょ」とテーマソング(?)をちょっと踊りながら歌います。 この曲の最後の平沢さんの決めのポーズがかっこよくて〜!!東京だったらBブロックがこのときの平沢さんの正面になるのですが、正面で見たらますますホントにかっこいいんですよ!!こんなことで騒げるとはまったくファンだこと(笑) そのポーズとは、顔を左に向け目は伏目がち、右手をちょっと上げて手の甲をこちらに向け、足は左足を前にしてさりげなく交差。左手は身体に沿わせて下ろしてたと思います。(左右が間違ってるかも(笑)やってみてかっこよくなくても怒らないでください(^^;)正面のBブロックで観た日の終演後、思わず平沢さんに「かっこいいです!!」と言ってしまいまして、そしたら「これ?」ってちょっと手だけやってくれた(^^)うふふ。あのポーズはみなそれぞれ適当(というか自由にやってるというか)なんだそうですよ。 一旦退場し、次に出てくるときには全員がハンドベルを手に、「きよしこの夜」を演奏しながら登場します。ピアノの北島さんもピアノを弾きながらちゃんとベルにも参加しておられました(^^) 初日を観たときはそうでもなかったのですが、2週間後クリスマス頃に観に行ったとき、このハンドベルのとき平沢さんとっても不安そうだったんですよね。でもって、ちょっととちって、メンバーに指摘されたりして、その様子が微笑ましくって客席の笑いを誘っていました(^^)。 あれ?って思って終演後、「平沢さん、ハンドベル…苦手?」って聞いてみたら、初日の頃とは担当が変わってるんだよというお答えでした。そのほうが面白い効果が出るだろうってことで変わることになったのだとか。白井さんと変わったのかな??で、まさに狙い通り(笑)いい雰囲気になっていましたね。お芝居でわざと間違っているわけではなく、でも本当に苦手なのではなく、そういう効果を狙っているのでありました。平沢さんの名誉のために(^^;ここに書いておきましょう。 この場面、クリスマスイブの公演ではベースのクリスさんがサンタクロースの扮装をして出てこられて、とっても素敵な雰囲気でした。ちなみにこのハンドベルはクリスマスバージョンなので、大阪公演にはありませんでした。大阪では代わりに中西さんの演奏で一曲。大阪の初日、白井さんがひとりで出てきて、「せっかくなので中西さんにもう一曲」って言ったあと、「みんなも出てきてほしいな〜…」ってきょろきょろしていた姿がなんか可愛かったです(^^)ちなみに次の日は最初から全員出てきてました。 さて、大阪公演のカーテンコールは、中西さんをはじめとするミュージシャンの方々の演奏に途中から高泉さんの歌が入り、白井さんと陰山さんがコーラスをつけ、なんと平沢さんが踊ります!演奏の間、役者さんたちは椅子に座って聞いているのですが、座っているときから平沢さんは足でリズムをとっているというかステップ踏んでらして、わたしはそれを見ながら、平沢さん、踊ってほしいなぁ〜…って思ってたんですよ。それが高泉さんの歌とともに平沢さんも立ちあがってステップ踏み始めたものだから、体温があがりそうになりました。実際あがってたかも(笑)。客席で暴れそうになるくらい(笑)すっごいかっこよかった…!!あのダンスは即興だそうです。 ハンドベルがないと知ったときは残念だなぁってちょっと思ったんだけど、それを補って余りあるカーテンコールでした(*^^*)。 いや〜ホントに楽しい舞台でしたよ〜『ア・ラ・カルト』。わたしにとっては、平沢さんが出演ということでその魅力が倍増していたのはたしかですが、そのことを差し引いてもホントに楽しい舞台で、毎回のめりこんで観ていました。平沢さんが出ていない場面でも、味わい深く、好きな場面ばかりです。(そうでなければこんな長い詳しい感想は書けません(^^;) 大阪公演の日程は年末ギリギリで苦しいのですが(1999年も観たいとは思っていたのだが観に行けなかった)、でも次回も観れたらいいな…。なんとか時間をあけて観に行こうと今から楽しみにしています。《2001.1.19》 |
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ここまでわたしの長〜〜い感想を読んでくださってありがとうございました。ご意見ご感想(苦情でも)がありましたらメールにてお願いします。間違ってることを書いてたらぜひぜひ教えてくださいね。よろしくお願いいたします! |