FANTASTIC MUSICAL

夏の夜のロミオとジュリエット

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内容の詳細とわたしの感想です。内容説明はあくまでも舞台を観たわたしの印象と記憶と解釈によるものです。実際の脚本や演出の意図とは異なるかもしれません。その点をご了承のうえお読みください。ご意見ご感想(苦情でも)がありましたらメールにてお願いします。間違ってることを書いてたらぜひぜひ教えてくださいね!(参考資料:パンフレット)

1幕1場-天上界
M0 Summer time

幕が上がる前、客電が落ちて暗くなると流れる音楽「Summer time」。夏の夜のお話ですもんね。曲の間に幕が上がり、しばらくの間、最初は赤、オレンジ系の照明がくるくるとまわり、途中から白、ブルー系に変わるんだったかしら。音楽と照明によるプロローグという感じでした。
そして、雷の音と光。
M1 我は神
明るくなると舞台は上下まっぷたつに別れており、下部は真っ暗、上部は天上界のようです。
そこにひとり、怒りのオーラをみなぎらせて叫ぶように歌う人、じゃなくて神、それはポセイドン(坂元健児)。どうやらポセイドンは人間界を治める立場上、たまに地上へ降りて人間達と接触している様子。しかし最近、どうも気に入らないことがあったらしい。
地上に降りたポセイドンは、JAZZ CLUBで、人間達とダンスで競いあったようです。ものすごく怒っているところを見ると、結果はよくなかったようですね。アポロン(MITSU)が来て、どうされたのですか?と尋ねるのですが、ここ二人の歌になってます。
あら、いい感じねって観て(聴いて)いたのですが、お二人とも歌だとよいのに、芝居になるとどうも学芸会風になってしまうのが残念。神達はもう一度人間達に戦い(と言ってもダンスの)を挑むべく、地上に降りることにする。アレス(SHUN)、ヘルメス(森新吾)を呼び、ポセイドンは彼らをひきつれて去っていきます。
M2 結婚なんてまだ早い
そこに転がるように走り出てくるアフロディーテ(伊織直加)とアテナ(ヒルナオミ)。アフロディーテはポセイドンの婚約者。本人の意思とは関係なくそれは天上界の決まりごとのようです。
だけど、アフロディーテはポセイドンのことをあんまり好きではなく、自分には結婚なんてまだ早いと歌います。

アテナは「ポセイドン様は立派な方です」とアフロディーテをいさめますが、アフロディーテは「地上に降りて人間達を見てみたい、ケーキも食べてみたい、やりたいことがたくさん」と若い娘らしく夢を語ります。ポセイドンにつき従って何度も地上に降りたことがあるアテナを「地上はどんなところ?人間達はどんなの?」ってアフロディーテが質問攻めにしているところにポセイドンがやってきます。ポセイドンはアテナに地上に降りることを告げて、ついてくるようにと言いに来たのだが、一緒に行きたいと言うアフロディーテには厳しく地上に降りることを禁じます。
アフロディーテはしゅんとして、ポセイドン達を見送りますが、つまんないなーというような顔。
1幕2場-JAZZ CLUB カオス
M3a 妖艶で色っぽいDANCE曲
M3b 明るく軽快なDANCE曲

天上界が暗転すると、下部、本舞台上の囲いが取り払われ、明るくなると、ここは地上のJAZZ CLUB「カオス」。JAZZYな音楽が流れる。
店長・平澤さんはカウンターの奥に横顔を見せて地味に座ってます。

センターには、男女二人のぺア(東山義久、三咲レア)がポーズ。踊り始めます。妖艶で色っぽいDANCE、思わずひゅーひゅー言ってしまいそうなくらいカッコイイです。踊る二人に目が釘付けになってしまって、舞台に平澤さんがいるのに、ほとんど観ないのってはじめてかも。でも、平澤さんの振付ですからね、ダンスちゃんと観ないとねー。ここのダンス好き。
続いて若者たち3人(大坂俊介、小寺利光、KYOHEI)が入って明るく軽快なDANCE、楽しい。途中でKYOHEIさんの歌が少し。この頃には、平澤さんもカウンターの外に出てきて、若者達のダンスを楽しそうに眺めています。
盛り上がっているところに水をさすかのごとく、店に入ってくるポセイドン達。
M3c 静かなDANCE曲
店の左右に別れるように座った神達と若者達。ぜんぜん友好的な雰囲気じゃないんだけど、若者達は面白がっているようで、自分達の自己紹介を始めます。ポセイドンに名前を聞いて「人に名前を聞く前に自分が名乗れ」って言われて名乗るんだったっけ?とにかく、若者達はそれぞれ名乗ります。

彼らは、自分達が日本で多い苗字Best5の「佐藤・鈴木・高橋・田中・渡辺」という平凡な名であることが嫌で、店では「夏の夜の夢」の登場人物の名前で呼び合っています。佐藤(東山義久)は「ライサンダー」、高橋(小寺利光)、田中(KYOHEI)、鈴木(大坂俊介)はそれぞれ職人達の大工、ふいごなおし、指物師の名前。そして渡辺(三咲レア)が自称「ハーミア」、でも佐藤が言うには「ヘレナ」なんだそうな。で…店長である平澤さんが「オーベロン」。平澤さんは本当は万能の神「ゼウス」なんですね。だから神達が地上に降りてくるときは、ここに来るんだろうな。

若者達が平澤さんをさして「あのおっちゃんが」って言ったとき、それを聞いたアレス達は憤慨して「なんだと?あの偉大な…」と言いかけるのですが、若者達は店長が人間じゃなく神だなんて知らないものだから、「偉大な?」と不審げに聞き返します。
はっと気づいたアレス達、ぼそっと「…店長さんだ。」
ちょっと笑えます。

鈴木は「指物師」って知らないらしく自己紹介した後に「指物師って?」ってぶつぶつ言いながらカウンターのほうに戻っていくのですが、オーベロン店長は「夏の夜の夢」の文庫本を愛読しているらしく、本のページを示して鈴木に教えてあげていました。

渡辺は名前が「房江」で佐藤に「平凡を通り越してダサい」とまで言われていますが、「佐藤ひろし」もなかなかのもんです(?)
ポセイドンに「平凡でもいいではないか。幸せなら」と言われて、佐藤は妙なポーズをとりながら「平凡なんて嫌だ」と言い返しますが、ここ面白い。

なおも佐藤はポセイドンに絡みます。「平凡が好きってことは、あんた井上?」
日本で多い苗字6位は「井上」なんだそうです。井上じゃないんだったら、伊藤?加藤?斎藤?山本?と言い募る佐藤に我慢できなくなり「ポセイドンだ!」と怒鳴るポセイドン。
しらーっとした雰囲気ただよう店内。「なんだ、あんたたちもごっこやってんじゃん。じゃ、アポロンとかいるわけ?」
はっ…とする神達。いるよね、アポロン。
そのアポロン(MITSU)は「あれ?どこ?」ってな感じで後ろを振り向いたりしてみますが、バレバレ(笑)佐藤に「いるんだ、アポロン」って笑われてしまいます。
M4 DANCEバトル
調子にのった佐藤は、ポセイドンの肩を抱くようにして「この店じゃあんたはディミートリアスなんだよ」と絡み、「なれなれしく触るな!」と激昂するポセイドン。音楽変わって、緊迫した雰囲気の中、神達と若者達のDANCEバトルとなります。

まずは全員のダンスから、そして、入れ替わり立ち替わり、フォーメーションもさまざまに、迫力のダンスが繰り広げられます。見ごたえありましたね。カッコイイ振付もコミカルなというかちょっと変な(笑)楽しい振付もあり、これって平澤さんの振付よねぇ?と思ってたらやっぱりそうでした。
ひとしきり踊ったあと、天井から何かがどさっと落ちてきます。なんだろうと思っていたらタップシューズ。舞台がちょっと暗くなり、KYOHEI、MITSUのソングバトルが入ります。前でふたりが歌っている間に、他のみなさんは靴を履き替え、タップになります。歌い終わった二人はやっぱり靴を履き替えてタップに参加。タップは高橋(小寺さん)が中心です。佐藤とポセイドンの間から二人の肩に両手をかけて飛び出してくる高橋、活き活きしてました。タップは玉野さんの振付だそうです。
M3c' 静かなDANCE曲
にらみあう神達と人間達の間をかきわけるように店に走りこんでくる若い女がひとり。
「わぁーここが人間界なのねーっ!!」とノーテンキに喜ぶその人は、ピンクのワンピース姿のアフロディーテでした。

びっくりしたポセイドンはアフロディーテをつかまえ、またまた激昂。
しかしアフロディーテは「だって、だって、どうしても人間界を見てみたかったんですものーっ」と反抗的。言い争う二人に「まあまあいいじゃないか」とゼウスが割って入ってきます。

ゼウスに「もうこうやって来てしまったんだから…」と言われてちょっと「しょうがないな」という気持ちになったのか怒りをおさめ、ポセイドンはアフロディーテに「ご挨拶しなさい」と命じます。
アフロディーテは礼儀正しく「お久しぶりです。ゼウス様」と挨拶し、耳元に口を寄せて「ありがとう」ってささやきます。にやっとするゼウス様。ゼウスに「なかなかいいコになったな」と言われてポセイドンちょっとうれしそう。そしてそのまま神達のテーブルについて、飲み食い(?)を始めてしまうのでした。ポセイドンったら照れてるのかしらね(笑)

ひとり取り残されたアフロディーテはものめずらしげにきょろきょろしていますが、離れたテーブルにいる若者達を見つけ、思わず走り寄って「はじめまして!人間!」と声をかけるのでした。
声をかけられて振り返った佐藤。そのとき佐藤とアフロディーテの間にぴぴっとくるものがあったらしい。一目逢ったその日から、というやつですね(笑)
「人間」って冗談だと思った若者達が「はじめまして、女神様」と応えると、アフロディーテは「あら、よくおわかりですね。」

その様子を面白そうに見ていた佐藤が「ハーミアを見つけたかな」とつぶやきながらアフロディーテを誘い、二人で踊り始めます。なかなかいい感じのデュエットです。平澤さん振付です。
渡辺がその様子に眉をひそめる。そしてポセイドンが気づき、慌てて佐藤からアフロディーテを引き離し、神グループは店を出ていきます。

佐藤は、「せっかくいい雰囲気だったのに…」と残念がりながら、連れていかれる彼女に名前を聞く。
「アフロディーテ」
にやけながら「アフロ…。いや、普通の髪型だったよな…」とつぶやく佐藤。
どういう発想?(笑)

あっ!よく考えてみれば、あいつら金払ってない。
店長さんに訴えてみるが、なんと今日は店長のおごりだと言う。太っ腹ですね、店長!
自分達のぶんもおごってもらえると聞いて、急に態度をあらためて「ごちそうさまでした!店長!」と礼儀正しくなる若者達。「なんだよお前ら、こんなときだけ」と言いつつも、笑顔で大人の余裕を見せる店長ったら渋いわ。店長の気が変わらないうちにとばかりに帰っていく若者達。
そして最後に店を出て行く渡辺に店長は「ハーミアになれるといいな」とひとこと。暗い顔をしていた渡辺だったのだけど「ありがとう」と笑顔になって出て行く。店長さん、女性に優しいわねぇ(笑)

さて、彼らが出ていってひとりになったとたん、店長、態度が豹変します。ここの平澤さんの絶妙の間に笑える。
「いやー、面白くなったきた!」とほくそえむ店長、こんなとき、妖精王オーベロンならなんと言うか。おもむろに、愛読している文庫本を開き、「パック!パックはおらんか〜!」と叫ぶのだった。

店長としては気分がのってちょっと言ってみただけなんだけど(笑)、その声に答えてなんと壁からいきなりパック(玉野和紀)がめんどくさそう〜に現れたではないか。
店長は本当は神で人間じゃないから、その呼び声が妖精パックに届いてしまったというわけですが、自分を呼んだのが妖精王オーベロンじゃないことに気づいて驚くパック。

そんなら来るんじゃなかったとばかりパックがゼウスに憎まれ口をたたくので「嫌いになるぞ!」とゼウスに言われてしまいますが、「ふん!いいもん!じゃ、俺こいつ好きになってやる〜」と椅子を可愛がるパックってかなり変です(笑)
しかも、面白い話があるが聞きたいか?と言うゼウスに、なんだよその優位に立った言い方は〜?と絡んで、万能の神ゼウス様に「話させてください」とお願いさせるパックって大物(笑)

さて話をしようとするゼウスなのだが、パックと話してると話が前に進まない。「お前と話してると話が前に進まんな!」と文句をいうゼウスに答えてパック、「へー、そしたら後ろ向きに話そうか!?」とわけわからない展開に。まったく素直じゃないですね、パック。
一番シンプルなところで、前に歩きながら「パック」後ろに歩きながら「クッパ」
「ぎゃーはははは、クッパだってぇ!!」と喜ぶパック。
こんな感じでこの場面、かなり笑える場面ですが、玉野さんは毎回違うネタをしこんでいたようですね。
大阪公演のときは、「道頓堀」「リボントウド」なんかこれ笑えた。りぼんとウド(笑)
「お好み焼き」「キヤミノコオ」意味不明ですが、なんかえらい人の名前みたい(笑)

ゼウスは後ろの椅子に座ったたま、クールにパックを眺めている…のですが、あまりのパックの変さ(笑)に思わず白い歯を見せて笑ってしまう平澤さん。パックに「おい、笑ってないでお前も来いよ!」とさんざん誘われるので、ひょっとして千秋楽あたりのってくるのではと心配(笑)してましたが、最後までのりませんでしたね。大阪公演のとき(だったかな?)あまりのパックのノリノリぶりにゼウスはあきれて、パックを一人置いて出ていってしまいました(笑)すぐ帰ってきましたが。
さんざん遊んでやっと気がすんだらしいパックとテーブルで差し向かいになり、さっきこの店で繰り広げられた神達と人間達の話を始めるゼウス。話してる途中で暗転です。

パックも言ってましたが、ゼウスってかなり悪趣味だよね。トラブルを面白がるとはよほど退屈してるのねぇ。しかしいいのか、万能の神がそんなんで!?まあそうでないとこの話、成立しませんけれど(笑)
1幕3場-天上界
M5 二度と地上へ行くな!

天上界では、当然のことながら、ポセイドンが怒っています。勝手に地上に行ったばかりか、あんな人間と踊ったりして。ポセイドンの立場からすれば当然なのですが、邪気のないアフロディーテは佐藤のことを「悪い人じゃなかった。ちょっと踊っただけ。」などと言ってますますポセイドンを怒らせてしまいます。とにかく二度と地上に行くことは許さん!とポセイドンが去って行きますが、アフロディーテはポセイドンのことは眼中になく、ただもう一度佐藤に会いたいということしか頭にありません。ポセイドン、かわいそうです。というか、攻め方間違ってますね。彼、真面目すぎて不器用なのよね。

アテナがポセイドンに呼ばれてアフロディーテの側を離れた隙に、アフロディーテはまた勝手に地上へ降りてしまうのでした。ポセイドンもアテナもアフロディーテがそこまでするとは思ってなかったのでしょうが、油断ですよねぇ。
1幕4場-公園
M6 君は俺の女神

公園で佐藤はひとり、アフロディーテのことを思って踊り歌います。床のスポットライトを相手にデュエットダンス(?)を踊るのですが、当然、踊る東山さんに注目するので、最初、彼を照らすはずのスポットライトがずれてるのかと思ってしまうんですよね。いや、すぐそうじゃないことはわかったんですが。そうわかっていてもときどき、東山さんが暗い!…とちょっとしたストレスを感じました。もうちょっとなんとかならなかったのかしら。それはともかく、ここの東山さんのダンスも歌も好きです。振付は玉野さん。

歌の最後、ベンチに座って、隣にアフロディーテがいるかのごとく微笑みつつ振り向くと、そこにいたのは渡辺。「うわぁっ!なんだ、お前かよ」と佐藤。渡辺にしてみればまったく失礼な!ってところ。しかもさっきは別の女と踊っちゃって。おまえ以外に踊りたくなる女はいないって言ってたじゃない。 すねる渡辺に対して、そんなこと言ったっけ?と、とぼける佐藤。二人はつきあっているようなんですけれど、二人の間にはずいぶんと気持ちに温度差があるようです。渡辺は佐藤にぞっこんだけど、佐藤のほうはそうでもないんですね。渡辺は自分はハーミアだと思っているけど、佐藤にとっては渡辺はヘレナで、ハーミアにはまだ出会っていなかった。そして今、アフロディーテに出会って、ハーミアを見つけたと盛り上がっているわけですね。かわいそうな渡辺。

そんなこんなで二人でもめていると、そこに現れたのはアフロディーテ。
思わず笑顔になる佐藤。しぶる渡辺を先に帰らせて、アフロディーテと二人の時間。でも渡辺はこっそり戻ってきて、ゴミ箱の後ろに隠れて、二人の様子をうかがいます。ここの渡辺、ちょっと笑えます。 そのうち、天上界からアフロディーテをおいかけてきたアテナも現れて、渡辺とアテナは一緒にゴミ箱の後ろで二人の様子を盗み見するのでした。
M7 私はあなたが好き
自分のことを「人間」としか呼ばないアフロディーテに対して、佐藤は自己紹介するんですが、アフロディーテにはどうも常識が通用しない。「平凡な名前の佐藤」って言えば、それが全部名前だと思ってしまうし、敬称をつけるというのがわからない。なかなか笑えるとんちんかんな会話を繰り広げた後、結局佐藤は、ライサンダーとハーミアってことにしようと提案します。それを受け入れたアフロディーテ、さっそく佐藤に、あなたに女はいますか?と質問。佐藤ってば、渡辺っていう彼女がいるくせに「全然いない!」当然、ゴミ箱の後ろで激怒する渡辺をとめるアテナ。

さ、それでは!と大仰なポーズを決めつつ佐藤がアフロディーテに尋ねます。「ハーミア、君に男はいますか?」もちろん「いません」という答えを期待していたでありましょうが、アフロディーテの答えは「います!」
がっくりくる佐藤。アウトかよ〜とつぶやく声に「いいえ!アウトではありません!」
な、なに?どういうこと?と色めきたつ佐藤ですが、アフロディーテは「ポセイドンです!」
なんだ、そういうことかよ…あいつが…とまたまたがっくりくる佐藤。

でもアフロディーテが言うには、勝手に決められた婚約者で自分はポセイドンのことを好きではなく、なんと、アフロディーテは佐藤のことを「好きになりました!」と言うではないか。
アフロディーテが佐藤に歌いかけます。私はあなたが好き。
なかなか可愛い歌と踊りですね。振付は玉野さん。
歌が終わって、ベンチに座った二人、アフロディーテは佐藤に「あなたは私のことが好きですか?」と問い掛けます。佐藤はちょっとじらして「それは、どうかなぁ〜」なんてとぼけてみますが、がっかりした顔をしてアフロディーテが横を向いたそのほおに、チュッ。喜びに表情を輝かせたアフロディーテ。

が、しかし。そこには天上界から追いかけてきたポセイドンが。
ポセイドンの、まさしくライオンキングのような怒りの咆哮とともに、場面は一気にジャズクラブへ。
1幕5場-JAZZ CLUB カオス
さて、ジャズクラブのゼウスのもとへ、神の力で一瞬のうちに移動したポセイドン、アフロディーテ、アテナ。
怒りに燃えるポセイドンに、アフロディーテは懇願します。
「お願いです!婚約はなかったことにしていただけませんか!」

ポセイドンにしてみれば、天上界の決まりごとを個人の勝手で変更するなどあってはならないこと。かたくなに拒みますが、アフロディーテったら「だからって好きでもない人と結婚しないといけないんですか!?」ってそんなはっきり…それが真実とはいえ、本人に向かって言うとは、無邪気って残酷ですよねぇ。がっくりくるポセイドンですが、ゼウスが見かねて「ちょっと時間を置いて、結婚は少し延期したらどうだ」と提案するのですが、ポセイドンはあくまでも天上界の決まりだからと「アフロディーテの誕生日(っていつですか?)にどうしても結婚いたします。」と礼儀正しくゼウスに答えます。

ゼウスに「人間界で神の力を使うのはほどほどにな」と注意されたポセイドン、またまた礼儀正しく「はい」と答えて、アテナとアフロディーテを連れて去っていきます。
それにしてもポセイドンは攻め方間違ってますね。これでは女心は動きません。決まりだから、などではなく、おまえを愛しているのだと言えないのかなぁ。言えないんだろうなぁ。
M8 ドアロックDANCE
M8' イス着席DANCE

さて、ポセイドン達が出ていってひとりになったとたん、ゼウスったらまたまた態度豹変(笑)
ますます混迷してきたのが面白くてたまらない様子。(いいのか、そんなことでっ!)
パックを呼びつけます。
「おい、パック!パック!!」とこの前パックが現れた壁のあたりを叩いて呼びつけるゼウスですが、パックは意表をついて反対方向からターザンのごとく宙を飛んで登場。

面白くなってきたぞ〜!!と盛り上がるゼウスですが、パックはあんまり興味なさそうで、テンション低いまま。しかし、私とおまえとでもっと面白くできるぞ。おまえにしかできないことだ…と囁いてパックの心を巧みにとらえていくゼウス(笑)。
パックはゼウスの口車にうまく乗せられてしまいます。
パックがそれじゃ話を聞こうという態度になったとたんにゼウス様、おもむろに上着のボタンをはずすんです。始まる音楽。

きゃーッ!!平澤さん踊るの踊るの!?キャー!!というわたしの期待に応え(笑)、小粋にかっこよく、踊りだすゼウス様。椅子に座って足だけのステップから、立ち上がってビシバシと"ダンサー平澤智"の本領を発揮するのでした。呆然と見守るパックを巻き込みつつ、踊りまくるゼウス様、かっこいい〜〜〜っ。でもあっという間に終わってしまい、センターでビシっとポーズを決めるゼウス様。なぜかくるりと振り返って、ガチャッとドアをロックするのでありました(笑)

なんだよーっっ鍵閉めるだけかよーーーっ!

パックのそんな叫びに
「ん?誰かが入ってきたら困るだろ?」ととぼけた返事をするゼウス。
そうです、これはゼウスの"ドアロックDANCE"だったのでした(笑)
この店のドアは、特殊な鍵でして、ひとしきり踊らないとロックできないのだわ、きっと!
…違うと思いますけど(笑)

踊って満足したらしいゼウス、椅子を示してパックに座るように言いますが、パックも負けてません。音楽スタート、パック、ステップ開始。でも後ろでゼウスがミュージシャンのみなさんに指示をして音楽がすぐ終わってしまいます。「ちぇっ終わっちまったよ」とすねて、椅子に座ろうとせず、ちょっと離れたテーブルの上に乗ってしまうパック。しょうがないので、ゼウスはパックの近くに椅子を持ってきて座って話を始めるのでした。"ドアロックDANCE"は平澤さんご自分の振付です。
M9 ゼウスとパックの密談
さて、二人の密談が始まります。 ゼウスは、真面目すぎて融通のきかないポセイドンに人間に恋をさせたい。そうすれば堅物のあいつだって道ならぬ恋の悩みがわかるだろう。そのためには、パック、おまえの力が必要なんだ。そう、必要なのは"恋の3色すみれ"。眠っているそのまぶたにこの花の露をつけると、目覚めて最初に目にはいったものに恋をしてしまうという。これはパックでないととってこられないものだ。

最初は座って話してるんだけど、盛り上がってきて、立ち上がって話す二人。そのうち、ゼウスの言葉にはなぜかメロディがついてきます。メロディだけではなく、ちょっとしたダンスまでついてきたりして。
パックにそれを指摘されて、「俺は興奮すると、歌ったり踊ったりしたくなるんだ〜〜っ」とまたメロディをつけて踊りながら言うゼウス。平澤さんってば、このちょっとしたダンスがまたさりげなくかっこいいんですけどね〜、でもヘンな人(笑)…じゃなくて神か。
パックにも「だからあんたはヘンな奴なんだ〜〜」と歌われてしまいます。
しかし、ゼウス様、負けてません。「おまえにだけは言われたくないぞ〜」
ここは、レミゼバージョン(アンジョルラスの歌うメロディね)のときもありましたし、ぜんぜん違うときもありました。レミゼバージョンのとき大受けだったのは言うまでもありません。
まあ、ゼウスもパックも変さではどっちもどっちだと思いますよねぇ。
二人ともそれは同感みたいで、最終的に「お互いさまさーーーっ」と二人で合唱(笑)

結論がついたところで(?)「話をもとに戻していいか?」とゼウス。とにかくだな、これはおまえにしかできないんだからと、ゼウスに言いくるめられて舞い上がったパックは「まかせとけー!!」と盛り上がって、走って壁をつき破って出て行ってしまいます。
その様子を眺めつつ、あーあ、また壁、直さなきゃな〜とつぶやく店長なのでありました。暗転
1幕6場-公園と天上界
M10 アフロディーテを監禁

場面戻って公園。佐藤と渡辺は、さっきまでアフロディーテ達いたよね?と不審に思いつつも、佐藤は渡辺に別れ話を切り出す。アフロディーテのことを好きになってしまった佐藤。渡辺のこと、いつまでもふざけた調子でごまかしていられるものではない。人の気持ちというのはどうすることもできませんからね。

天上界では、ポセイドンとアフロディーテが言い合っている。ポセイドンはアフロディーテを失いたくないあまりに彼女を監禁し、アテナに監視役を命じます。檻の中にひとり取り残されたアフロディーテはどうしてこんなことを!と嘆き悲しみ、近くで聞いているはずのアテナに対して、アフロディーテは出してほしいと懇願し、その様子にほだされたアテナはアフロディーテを逃がしてしまうのでした。

神達の言い争いは歌で繰り広げられ、それに合わせて、地上の佐藤と渡辺が踊るという構成になっていました。天上界でポセイドンがアフロディーテを殴る場面があるのですが(ポセイドンったら暴力的ね!ますます攻め方間違ってます)、地上では渡辺が佐藤を叩く場面とシンクロしていました。
この場面はどうしても、東山さんとレアさんのダンスに目が釘付けになってしまうんですね。息を呑むものすごいリフトのダンスが繰り広げられます。振付は玉野さん。
最後は渡辺は一人去っていき、佐藤はひとり、公園のベンチに座ったまま。
1幕終わり。

2幕へ


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