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クラウディア




●内容の詳細とわたしの感想です。内容説明はあくまでも舞台を観たわたしの印象と記憶と解釈によるものです。実際の脚本や演出の意図とは異なるかもしれません。その点をご了承のうえお読みください。ご意見ご感想(苦情でも)がありましたらメールにてお願いします。間違ってることを書いてたらぜひぜひ教えてくださいね!
●参考資料:パンフレット、終演後の劇場ロビーに掲示された曲名リスト、サザンオールスターズ/桑田圭祐CD
●場面名はわたしが勝手につけました。


二幕

1.オープニング/JAPANEGGAE(ジャパネゲエ)


幕が上がると、床に寝転んだ大勢の人たちが片手をあげる振りから始まるダンス場面。聞いただけでは外国語?と思うような音で構成された歌詞。根国・幹国、両国のみなさんが入り混じって歌い踊る不思議な雰囲気の幻想的なダンス場面です。
途中でおりえがくるくるっと登場し、おりえを中心に女性達が踊るところがあります。男女ペアになってダイナミックなリフトをしている人たちもいて、イメージとしては美しくゆったりとしたダンス場面なのですが、けっこう見るのに忙しい見ごたえある場面です。左右に幹国、根国別れていて、全員が後ろ向きになって衣裳を綺麗に見せながら一斉に横に移動し幹国、根国が入り混じっていくところとか、さりげなく横一列にずらりと並んで順番に座っていくところとか、フォーメーションの変化が面白いダンスです。
最後は獅子舞か鯉のぼり(ちょっと違う?)かと思うような長〜い布を袖から二人の人(たぶん小野さんと福島さん)が持って走り出てきて、ずらりと並んだ人たちの頭上にかぶせていきます。かぶさった布を持ち上げて少し歌ったあと、布をかぶったまま大蛇か龍のごとく、ぐるりと大きく弧を描きながら去っていきます。夢か幻のような妖しく美しい場面。振付は平沢さんです。具体的な場面設定はないそうで抽象的な雰囲気を表現したダンスとのこと。

2. 共同危険区域・毘子蔵と細亜羅/夕日に別れを告げて〜メリーゴーランド

毘子蔵と細亜羅の逢瀬…というか、実は幼ななじみの二人。思い出を語り合います。ここは二人のコント場面(?)です。笑わしてくださいます。ふたりは昔「ひーちゃん」「じーちゃん」と呼び合っていたそうです。ふたりが思い出をふりかえりつつ歌う「夕日に別れを告げて〜メリーゴーランド」ですが、毘子蔵は3文字しか歌わせてもらえません。幼い頃もどうやら細亜羅にふりまわされていた毘子蔵だったようで、三つ子の魂百までって言いますもんねぇ(笑)
毘子蔵、幼い頃はなんといじめられていたそうで、ひとりこの共同危険区域にきて泣いているときに細亜羅に出会ったんだそうです。同じようにいじめられて逃げてきたと毘子蔵が思っていた細亜羅は実はただ暇だったから来ただけだったらしい。。。
それはともかく、真剣に戦いはもうやめようと説く細亜羅。因縁なんだとあきらめている毘子蔵。ふたりは相容れないまま別れていきます。また戦場で会うことになるかもしれないんだなと思いつつ。

3. 共同危険区域・ナイトクラブ/HOTEL PACIFIC

今日のナイトクラブは根国の貸切。綺麗に着飾ったまもなく解禁祭を迎える4人の娘達が台上で歌う「HOTEL PACIFIC」。この4人の娘の両端のふたりが坪井さんと今泉さん。踊る根国民たち。たしか羽根つき扇を使っていたような。ジュリアナみたいですね(古…っ。若い人はわからんのではないだろうか)ここのダンス楽しいです。男女組んで踊るところで、福島さんと吉野さんが組んでいるのですが、他の組はみんないい雰囲気なのに、福島さんが吉野さんに迫ろうとして、バキっと拒否されるという設定になってます(笑)面白くてつい注目。そういえば大阪公演では(おそらく原田さん休演のため?)神崎さんが女性二人を相手にしていて「おお、すごい!さすがは順様ね」と妙な感心をしてしまいました。

後ろでヤン様はそんな様子を満足げに眺めつつ女性をはべらせてクールに酒を飲んでいます。か、かっこいい…。ここでわたしの心の声。ヤン様にはべる女性がどなたなのかわからないのですが…「ちょっとだけ代わってほしい〜!」(笑)

…そんなことはともかく。

細亜羅はちょっと離れたところでヤンにつき従う感じで座り、踊る人たちを眺めていますが、我慢できなくなったようで(?)最後は一緒になって踊ります。そんな細亜羅を笑みをうかべつつ眺めるヤン様。(きゃー!)

この場面なのですが、大阪公演のとき(だけなのかは不明)は、ダンスの途中でピンクの扇子を持った女性がひとりヤン様のところへ来て「ねぇ〜ヤンさまぁ。ヤン様も一緒に踊りましょうよぉ〜」ってな感じでヤン様に絡むようになってました。ヤン様、ニヤリと笑って彼女をかわしつつクールに「いや、俺はいいよ、それより細亜羅を誘ってやったらどうだ?」みたいなことを言ってます。って勝手にアフレコしてます(笑)ピンクの扇子の女性は細亜羅のところへ行って、「細亜羅さまぁ。踊りましょお〜」と誘う。細亜羅、その誘いに応えて元気よく踊りだす。その様子を微笑みつつ眺めるヤン様。

盛り上がった根国民達、娘達を讃えて神輿でかつごうとするのですが、4人まとめてはちょっと重かったようで、持ち上がらない。娘達が「お手伝いしましょうか?」と言って、全員降りて、かわりに小野さんひとりが乗って、娘達に担がれて去っていきます。…変でしょ、それ(笑)
その様子を眺めていたヤンと細亜羅。「間違ってますよね」とあきれる細亜羅に、ヤンは「国が栄えるのを見るのはいいものだ」と満足の笑みを浮かべます。
細亜羅はそんな繁栄のあり方に疑問を感じてヤンに説明しようとします。特定の人を大切に思い、その思いで人は人を抱くのではないか。それが「愛する」ということでは。
ヤンにはわからない。「愛する?それは何だ?」と問うヤンに、細亜羅は例を示して説明しようとします。それはクラウディアを大切に思うあまり、手にも触れられなかったり、全てが新鮮に見えて食べた腐った魚にあたったクラウディアが戻しているときに背中をさすってあげたりということであるのですけど、それで「愛する」ということって………ヤンでなくてもわからないと思います。そんな様子がなかなか笑えるんですけど。
「何をやってるんだ?」と言うヤンに「うまく説明できないのですが…」と細亜羅。「そんなことは説明できなくていい!」とクールに告げるヤン。「このごろのお前はどうかしているぞ」と自分の右腕である細亜羅を心配しつつも、「神親殿が」と言いかけたところ、細亜羅に「いえ!神親殿ではなく、私がそう思うのです」とさえぎられ、結局細亜羅の言うことがわからないまま黙って去っていくヤンなのでした。

ひとり取り残される細亜羅。
そしてクラウディアもまもなく解禁祭を迎えるのです。

4. 愛の言霊〜Spiritual Message〜

しゃん!という鈴の音にのって、神輿に乗ったクラウディアが運ばれてきます。解禁祭を間近に控えた娘らしく、薄手の綺麗な光沢地でできた色とりどりの重ね着の衣裳を身につけています。
一生に一度のめでたい祭りらしいのですが、クラウディアの表情はさえません。切なく呼びかける「細亜羅さま…」という声。
細亜羅は遠くからその様子を見ている(という設定だと思ったが)。

神親殿と龍の子がそれぞれゴンドラに乗って現れる。龍の子のゴンドラがあったのは日生劇場だけかな?福岡、大阪ではゴンドラはなく、龍の子は舞台奥の上段に座っていました。

神親殿と龍の子が語ります。神親殿は一度滅亡した人類の歴史から平和への道とは何かを学び、人々から「愛する」という感情を奪った。欲望を満たし小さな戦いを与えるつづけることで人類は満足し、延々と命の営みを繰り返すだろう。平和を禁じる。それが神親殿が理想とする平和への道なのだと。ここのYU-KIさんの「わたしは…愛を…とりあげました…」という台詞が印象に残ります。恍惚と言っていいようなそんな表情をされています。

神親殿の歌う「愛の言霊〜Spiritual Message〜」、幹国根国一緒に人間たちは踊ります。ここは裸足です。クラウディアの乗った神輿はその中をしばらく動き、細亜羅はセンターにしばらく立っています。途中でクラウディア、細亜羅も一緒に腕をあげる振りを踊り、クラウディアは下手に細亜羅は上手にそれぞれ去っていきます。細亜羅が退場してしばらくすると、平沢さんが上手袖から踊りながら現れます。ちょうど対称の位置、下手袖から現れるのが斉藤さんでした。平沢さんはしばらく踊って退場して、また現れます。
ちょっと不思議な感じのダンス場面。途中、平沢さんがセンターで後ろ向きになり、両手をさっと横に広げたり上にあげたりする振りがあるのですけれど、その腕と手が綺麗だなぁ…っていつもうっとりしてしまいます。
段階的に人は去って、後半、平沢さんをメインに木のそばで少し踊ります。曲が終わって暗いなかを最後にゆっくりと去っていく平沢さんの後姿が好き。とか言うわたしってかなりのファンばかだと自分で思います。

5. 戦い・龍の子/イエローマン〜星の王子様〜

誰もいなくなった舞台に、再び戦いが始まります。根国に押されて銃を使う幹国。神親殿の指示により龍の子が地上に降り立ちます。龍の子の威圧感と破壊力におびえる人々。とくに銃を使った人は龍の子にひきよせられ罰を受けます。
逃げ惑う人々の中、龍の子に戦いを挑む二人の人。それはおりえとヤン。おりえはこの場面からスカートをはずして動きやすそうな姿になってました。ヤンの衣裳は一緒でした。

おりえとヤン、ふたりは同時に上手下手からそれぞれ登場し、同時に龍の子に斬りかかっていきます。下手袖からするどく投げられる槍をバシッと受け取る龍の子(これ、初日ごろは右手だけで受け取っていたのですけど、いつのころからか両手で受け取るようになりましたね)。3人の立ち回りです。むちゃむちゃかっこいいです〜ここ。両刀使いのおりえと龍の子が戦うのを鋭い目で見つめて間合いをはかるヤンも、刀をふるうヤンも、もちろんおりえと龍の子も三人三様、一瞬たりとも目が離せません。しかし龍の子はふたりと戦いながらも、さりげなく、ヤンとおりえの戦いに誘導していき、最後はたくさんの人が入り乱れての戦いとなっていきます。龍の子が持っていた槍はぱんっと放り投げた瞬間に走ってきた熱海さんが受け取って、熱海さんはそのまま自然と戦いに入ってました。おりえとヤンもしばらく後ろで戦っていますが、群集にまぎれていなくなります。大勢の人が入り乱れる中、その中央で回りの様子をうかがい、戦う人々をあやつるようにゆっくりと動く龍の子の不気味な姿があるのでした。
この場面の曲は神親殿の歌う「イエローマン〜星の王子様〜」。

6. 親と子

上手側にカーテンがひかれ、そこは幹国。戦い疲れて息を切らしながら国に帰ってきた幹国民たち。もうへとへとです。おりえは戦い疲れただけではない、何か尋常でない表情をしている。
おりえの龍の子との戦いをほめる幹国の女性たち。おばちゃんトークとおばちゃん笑いになっちゃってます。でも「龍の子と対等に戦えるのは根国幹国あわせてもおりえしかいない」って言うんだけど、「ちょっと!ヤン様を忘れてんじゃありませんかー?」と心の中で突っ込んでいるわたしでした。

しばらく幹国民たちの笑える会話が繰り広げられるんだけど、おりえは深刻な顔をしている。 「今回はダメだったけど、また次の戦いでがんばればいいわ」という言葉に「いつまで?」と鋭く反応するおりえ。
おりえは龍の子と戦いながら、妙なことに気付いていた。龍の子は目の前の自分を見てはいない。回りの様子を確認しつつ、まるであやつっているような…。銃を使ったことに対する罰を与えさえすれば、あとは適当に戦わせ、どちらかが壊滅的な状態にならないよう操作をしながら、いつまでも次の戦い、次の戦いへと続くように、終わりのない戦いを人間たちにさせようとしている。
そんなおりえを奇異な目で見る幹国民。彼らは何も疑うことを知らない。

ところで、ここの台詞、どうしても気になるのが「FinishのこないNextの戦い」というような不自然な英語使いです。何か意図があるんでしょうか。ちょっと野田秀樹風を意識してるのかしらという気もしますが…違うよね?

毘子蔵が入ってきた気配に、おりえは毘子蔵に聞いてほしいことがあると言おうとしますが、毘子蔵の後ろにクラウディアがいるのに気付き、言葉を飲み込んでしまう。そのまま走り去るおりえ。
毘子蔵はそんなおりえを不思議に思いながらも、クラウディアとふたりで何か話したいことがあるらしい。
話があるからとみんなを去らせようとするのだが、幹国民たちには遠まわしな表現が通じない。話があると言われたので、全員毘子蔵のまわりにへばりついて、毘子蔵の言うことに反応するのでした。違うの!もう全員あっち行け!と言ってみればクラウディアまで一緒に行ってしまうし、みんな戻ってきてって言ったら、人数増えてるし。
そうじゃなくて、クラウディアに話があるから、クラウディアだけを残して、全員あっち行け。最初からはっきりこういえばよかったですね(笑)

と、苦労の末、やっとクラウディアとふたりきりになれた毘子蔵。
実は、クラウディアの肩にある花の痣と同じものが毘子蔵にもあるという。「あなたの肩には痣はありませんでした。」というクラウディアに、毘子蔵はなぜか靴を脱いで見せる。痣があるのは足の裏!!わかりにくっ。
ということは、ふたりは…親と子?
どっちが?とボケるクラウディアですが、あなたまだ20歳なんでしょーが(笑)
毘子蔵が20年前の自分の解禁祭のときに、誰かに生ませた子ってことらしいです。(ここでわかったのですが、解禁祭は男女とも同じなのですね。ってことは毘子蔵は40歳なのね。)
ここもまた笑える展開が繰り広げられるのですが、最終的に毘子蔵は、今この世界のなかで、親子と認識しているのは俺達だけ、と告げながらも「気にするな。忘れろ」という。だったら、最初からわたしに言わなければよかったのでは?というまっとうな質問をするクラウディア。まったくそのとおりですよね。
毘子蔵はひとりで思い悩むのが嫌だったらしい。ずるいですねー(笑)

毘子蔵が父であれば…。クラウディアは「お願いがあるのです!」とすがる思いで毘子蔵に訴えます。「解禁祭に出ない方法はないでしょうか?」
一生に一度のこんなめでたい祭りを拒否する女がいるとは…理解できない毘子蔵にクラウディアはなおも言いつのります。「わたしには愛しているお方がいるのです!」

だけど誰も神親殿にはさからえない。毘子蔵は泣いているクラウディアに一瞬心動かされ、クラウディアのほうに歩こうとするのです。でも。どうしようもないのだと。
どう頼まれても、俺ごときではどうしようもないのだと。

毘子蔵が去り、ひとりになったクラウディアは、遠くにいる細亜羅に語りかけます。


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