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Miss Saikon ミス再婚

●ミュージカルナンバーごとの内容の詳細とわたしの感想です。内容説明はあくまでも舞台を観たわたしの印象と記憶と解釈によるものです。実際の脚本や演出の意図とは異なるかもしれません。その点をご了承のうえお読みください。ご意見ご感想(苦情でも)がありましたらメールにてお願いします。間違ってることを書いてたらぜひぜひ教えてくださいね!
●参考資料:パンフレット


二幕

M15 NEXT DOOR II
TIMES(新納・成瀬・パク・安崎)・希美


「Miss Saikon…」「Miss Saikon…」…と、こだまのように声が響くと二幕の始まり。
1幕終わりの続きから。舞台には希美がひとり。センターの扉があくとTIMESの新納さんが登場。ひとしきり二人で踊る。
それぞれの扉から手にブーケを持ち現れるTIMES(成瀬さん、パクさん、安崎さん)。新納さんはいったん去りますが、再びブーケを持ち登場(だったと思う)。希美をほんろうするダンスを踊るTIMES。

「私の開くべき扉はどこ?」

希美は「見つかった!」と、センターの扉を開く。
開いた扉の向こうにいたのは後藤。
後藤は赤い薔薇の花束を手に「え?」と微笑む。
「いいえ、なんでもないの」と、平静を装う希美。

M16 インスピレーション
後藤・希美


「こんばんは」と入ってきた後藤は「うぃ〜ん」とロボットアームなふりをしつつ(笑)花束を希美に渡します。30本はありそうな赤い薔薇の花束。こんなのもらってうれしくない女はいな〜い!(いや、くれる相手にもよるが)
「ありがとう」と小さく言いながら受け取る希美。そんな希美に、後藤は「これを受け取ってくれ」と指輪を渡そうとするが、希美は「そんな高価なもの理由もなく受け取れない」と断ります。後藤は「理由はある。俺のパートナーになってほしい」と、さりげなく指輪を希美の指(左手の薬指です)にはめます。このへんからちょっとムーディな音楽(笑)。
ビンゴ!指輪のサイズぴったりなんですねぇ。調べてきたんでしょうか?ひょっとして3日前に一回会っただけで指輪のサイズを見抜いたんだとしたら、後藤さん、かなりな「たらし」ですね(笑)
「私達、3日前に会ったばかりよ」と、ためらう希美に、後藤は「一瞬でわかった。俺にはあんたが必要だし、あんたには俺が必要だ。」それはつまり一目ぼれってやつですね。
希美を口説く後藤のダンスと歌「インスピレーション」。平澤さんの甘い歌声とかっこよすぎるダンスにくらくらきてしまう場面です。
途中で二人のデュエットダンスになります。
口説きつつ、ひとしきり踊ったあと、ダンスの最後にお姫様だっこで希美を椅子(というか箱)まで運んで座らせ、いきなり希美の頬に手のひらをあてたかと思うと優しくキスをする後藤。
きゃー!(笑)
ぽーっとなる希美。

M17 ゲーム
後藤・希美


しかし、「あんたがこの3日間どれだけ迷ったか、俺にだって想像できる。キム社長は悪人じゃない。俺なんかよりずっと好人物だ。しかしマネーゲームの世界では能無しは悪なんだ。」と言い切る後藤に、「マネーゲーム?」と、表情がこわばる希美。「この世は全てゲーム。金で決まるのさ」という後藤の歌。
「ゲームなの?他人の夢を壊して微笑むの?」と問う希美に、後藤は「命まるごとかけてるのさ」って歌いながらお辞儀するんですけど、好きなんだなぁ〜、ここ。歌も好きです。

「俺には負けなんてない、なんでも勝ち取っていける」と自信過剰な後藤。
希美は、指輪をはずしてケースに戻し、「こんな高価なものもいらないし、必要以上のお金もいらない。それにあなたはわたしがほしいものを持っていない。それは勝ち取るものじゃなくて築き上げていくものなのよ。」と言い切り、後藤のプロポーズを断ります。
後藤は黙って指輪を手にとり、帰り際に希美に言うのです。「俺はあんたを利用しようとしたんじゃない。ただ、一緒に勝ちたかった。それだけだ。」
後藤は後藤なりに希美に対して真剣だったのだ。

M18 哀しきミス再婚(リプライズ)
希美・TIMES(安崎・パク・新納)


後藤が去り、一人になった希美は、後藤がくれた花束を胸に抱き、少し後悔。せっかくミセスになれるチャンスだったのに・・・また自分から逃しちゃった・・・
希美の歌に、TIMES(安崎さん、パクさん、新納さん)がコーラスをつけます。希美が去ると、三人のコーラスです。
正直に言いますと、TIMESに平澤さんがいると、どうしても平澤さんばかりを目で追ってしまって、他の人はちゃんと見られません。この場面はTIMESのメンバーをひとりづつやっとじっくり見ることができたのでした。

別の日。礼子がセンターの扉から登場。買い物から戻ってきた様子で紙袋を持っている。扉を閉めようとして後ろをうかがうが、しょうがないなって感じで扉を閉める。礼子は紙袋からりんごを出し、きゅきゅと服でふいてからがぶってかじりつくのでした。りんごを口にくわえたまま(!)、椅子を運んできて座る礼子。豪快だわ〜。この場面、好き(笑)
希美が礼子と同じ紙袋を持って登場。うかない顔をしている。「やっぱりしくじっちゃったかなぁ〜」どうやら後藤のプロポーズを断ったのを後悔している様子である。
「ねぇ、彼本気だったと思う?」と礼子に聞くのだが、礼子は「そりゃ、本気だったんじゃないの。そんな高そうな指輪買ってきたんなら」とあきれた様子。もう!そりゃ本気だったに決まってるじゃん!と心の中でツッコミを入れるところです(笑) 結局希美は後藤のプロポーズを断り、キムの話も断ってしまったというのである。ここで、扉をあけて両手にたくさん荷物を持った俊介が登場。礼子に持たされたんでしょうか(笑)
「ええっ!キムさんの話も断っちゃったんですか!?」
後藤を断ってキムを選んだんだと思ってたのに。でも希美の生真面目な性格からすると両方断ってしまうというのもうなづけますねぇ。

またぐちぐちモードに入る希美。
そんな希美に礼子は「そうやってまた"待ち"に入るわけね。理想の王子様が白馬に乗って迎えに来てくれるのを待つわけね。寅さんじゃあるまいし、そんなに次から次へと理想の相手が現れるわけないじゃん!」
寅さんって……言いえて妙!礼子、面白い(笑)

M19 いつまでもあると思うな旬の時期
俊介


「はい、お待ち〜!」とハーブティーを運んでくる俊介。ポットにはちゃんとお茶が入ってるんですよ。俊介はふたりのカップにお茶を注ぎます。
礼子の辛らつなコメントに対して「そんなことわかってるわよ!」と言う希美だが、そうは言ってもねぇと俊介が口をはさんでくる。

スーパーの野菜売り場。旬の野菜がたくさん並んでいる棚の前で「もう少し待ってたらもっといいのが出てくるんじゃないかしら」とか「何も今買わなくてもまだまだ大丈夫よね」とこういう風に考えて時期を逃してしまって、気がついたときには旬の野菜は売り切れてしまって売り場はからっぽ。賞味期限が過ぎたまま、「買ってくれ〜」と訴えていても誰も見向きもしない・・・ しーん・・・。両隣の希美と礼子をかわるがわる見て「怖いですね〜」とつぶやく俊介。
二人から手が出る!

俊介はそれをするりとかわし、ハーブティーのポットを持ったまま(途中で置きますが)、歌とダンスに入ります。
この歌は、新納さんにぴったりで(歌詞の内容が、とかじゃないですよ(笑))とってもいいです。
オレンジやグリーンの照明で舞台はトロピカルな雰囲気に(笑)
「旬」にかけて「季節に従順」「一瞬」「青春」「しゅん(がっかりの意味)」いろんな「しゅん」が出てきます。さて、俊介はひとしきり歌い踊り終わって扉から出て行ったかと思ったら、また現れて歌いだす。ここも好きですね〜。 運命の女神は後ろ髪がないそうです(笑)。「チャンスの神」がそうだと聞いたことがあるけど、同じよね(笑)「いつまでもあると思うな、旬の時期〜」と歌い終わって、ラスト「Thank you!!俊介でした!」とウインクをとばして去っていきます。客席からは拍手。
ですが、そんな中、俊介が去ったほうへ「腹立つ〜!!」とそのへんのものを投げつける希美と礼子。

M20a 過去・現在・未来 III
TIMES(平澤・安崎・パク)・希美

希美と礼子、なんとなくどよ〜んとした雰囲気。
世間では私達みたいな女のことなんていうか知ってる?負け犬よ、負け犬。礼子は、自分だって負け犬だってことよーくわかっていて、努力もしている。ここまでやっても見つからないならしょうがない。そして希美に、そこまでの覚悟で再婚を本気で考えてるのかと問い掛けます。再婚再婚って言いながらも思い切って踏み切ることができないのは、結局は前の結婚に縛られてるんだよと礼子は言います。後藤慶太に人生はゲームって言われて反発してしまったのも、前の夫との暮らしがそういう勝ち負けにこだわったようなガチガチに余裕のないものだったからじゃないの?

誰もがうらやむエリート同士の理想的なカップルだったのにわからないものね。と礼子は言います。
仕事も家事もがんばりすぎた優等生の希美。

TIMESとして平澤さんがセンターの扉から、左側扉から安崎さん、右側扉からパクさんがそれぞれ順番に現れ、希美に問い掛けます。
「仕事やめられないのか」「気が休まらないんだ。」
希美は心配して尋ねます。「会社で何かあったの?」
「僕のことをカウンセリングするのはやめてくれ」
そんなつもりはないの。家族なんだから何でも話し合いたいのよ。
希美の思いと食い違う夫の気持ち。

過去にしばられ生きていくのか。今だけ見つめ生きていくのか。未来を夢見て生きていくのか。
前の夫との思い出は希美に問い掛ける。
私はただ愛されたかったのに。彼に愛された記憶なんかない…
「過去に」「現在に」「未来に」と安崎さん、パクさん、平澤さんの順にそれぞれ歌ってTIMESは扉の向こうに去っていきます。

M20b 負け犬の条件
礼子

沈んだ様子の希美に、礼子は最近読んで面白かった本の話を聞かせます。
それは「負け犬の条件」
女が甘いプロポーズの言葉に弱いのは、誰かに深く愛されたという証拠がほしいから。これはわかる気がしますが、次に披露される3つの条件、わたしにはどうもよくわかりません。観るたびに歌詞を真面目に聞いては考えてたんですけど、結論としてやっぱりわからん。

第1の条件。もてる人間がえらいというばかばかしい価値観を持つ嫌味な女。OLをしながらも誰かに深く愛されたという証拠や履歴書を一生に一度もらいたい。(どういう意味?もしかしたら結婚は「恋愛結婚」でないとダメだということか。)
第2の条件。経済的自立。下手な男なんかより稼いでしまう女。(これはよくわかるけど…ダメなんですか?)
第3の条件。純粋に愛を求めるタイプ。結婚は「安定」だとわりきってる「勝ち組」とは違って、「負け犬」はそこに「愛」を求めてしまう。だから男とつきあっても幻滅するのが早い。「私は普通の幸せがほしいだけなのに」というのは負け犬のお決まりの台詞らしい。愛されたいと願いながら、玉の輿に乗りたいと、シロガネーゼやアシヤレーヌ、すなわち白金や芦屋に住む裕福な奥様の仲間入りをしたいと思う。

…最後のこれが一番わからない!「愛」が大切なら「条件」など二の次なのでは?それが「普通の幸せ」?わたしにはその価値観、ぜんぜんわからん。
まあそれはともかく、こんなムシのいいこと願っているようじゃ、ご縁がなくて当たり前!ってのは大いに同感。人生そんなにいいとこどりばっかりできるか〜いっ!(笑)
ここの成瀬さんの歌いいですねー。内容はともかく(笑)楽しい場面です。

M21 愛してみたら
礼子・希美


希美は自らの「負け犬」体質を悟り、「どうしたら人生を変えられるだろう」と自問します。そんな希美に礼子は「誰かに愛されるのを待つばかりじゃなく、あなたのほうから愛してみたら?与えて、信じて、許してみては?」と語るように歌います。
優等生のあなたにはおバカさんになるのもいい薬になる。少し気楽に、心許してみては・・・と。
途中で俊介がメニューのボードを持って現れ、そんな礼子をちょっと驚いた様子で見つめ、静かにコーラスをつけます。
この場面、いいですね。好きです。

励まされた希美は、「あなたが妹でよかった」と礼子に感謝するのですが、礼子ってば「鮮度のよくない食材でも、相性のいい食材を合わせて愛情こめて料理をすれば驚くほどいい味を出す」などと言ってしまい(笑)、せっかくのいい雰囲気をぶち壊します。礼子らしいですね(笑)。むっとする希美に、礼子は慌てて「もうすぐ話を聞いてほしいって人が来るから、あとはよろしく」と言い残して、俊介を連れてさっさと去っていくのでした。

礼子たちが去っていくと同時に、店に入ってくる男あり。なんとなくおどおどしています。お互いに初対面だと思っていたが、顔を見ると、「あー!フォーチュン・テリー!」「ミス再婚!」

フォーチュン・テリーはじつはいかさま占い師で、元・礼子の上司だったのだ。本名は君島彰。失業中だったが「営業畑で口はうまいし、高校演劇もかじってたから芝居はできるし、絶対いける!」と礼子に勧められたというのだ。希美のことも礼子から情報を仕入れ、希美はまんまと騙されたというわけ。
姉妹の縁切るからねー!!と奥に向かってどなる希美。
今日のカウンセリングも、「お友達価格」ということで、ただにしてもらったなどと言う彰。
希美の怒りはおさまらないものの、なんだか憔悴している彰を見ているうちに、しょうがないなと思ったのか、希美は「医師としてではなく、私個人として話を聞くわ」と、ひとつ心の扉をあけるのでした。

M22 下り坂


彰の話。彰の悩みとは「ギャンブル依存症」。
高校のときからずっと、何度もやめようと思うのだけど、やめられないと言う。自分の人生を一言で言うと「下り坂」。
いたずら心の浮気がばれて離婚、会社が乗っ取られて新しいアメリカ人の上司と気があわずリストラ、もともとのギャンブル癖に加えて慰謝料・養育費もろもろで借金がかさみ自己破産。短期間に人生の3大不幸を経験してしまったという。まだまだ続く果てしのない下り坂。

M23 クレジットカードの恐怖
彰・TIMES(平澤・パク・新納)


しかし、それだけじゃ終わらなかった。ギャンブルで自己破産しても借金はなくならなかったのだ。
自己破産しているから誰もお金を貸してはくれない。だからいわゆる街金融に手を出すことになる。そういうところは審査も簡単でカードさえ作ればいくらでも貸してくれる。1社に手を出してしまうと、その返済に違う会社、そうやってカードの数がどんどん増えていく。最初の1枚、カードを作る。それが地獄の入り口なのだ。
センターの扉がギーッと開いて、でっかいカードのおばけが現れます。CM等で見たことがあるような赤いカードですね。名前は「アトム」。そのカードのおばけの3辺からTIMES(平澤さん、パクさん、新納さん)がサングラスをかけて顔を出して彰の歌にコーラスをつけます。

M24 永遠の負け犬
希美・TIMES(平澤・パク・新納)


返済にあてようとまたギャンブルに手を出し、また負けて借金がかさむ悪循環。典型的な破滅型。
ギャンブルにはまる人はビギナーズラックでもうけた経験が忘れられなくて、やめられないのだけれども、彰は、なんと…一度も勝ったことがないのであった。
このままじゃやめられない。このままじゃ、一度も勝ったこともなく、永遠の負け犬のまま。そして彰は、最後までこれだけはと歯を食いしばって送金してきた「養育費」に今月とうとう手をつけてしまったというのである。落ち込みつつも、もうちょっとで来そうなんだけどな…ビギナーズラック…とつぶやく彰。
彰の話を聞き、なんとか悩みを解決できないか、なんとかならないか、なんとかしてあげたいと思ううち、希美は自分の仕事の価値を見出し、そして自らが抱えていたジレンマの答えに至るのだった。希美の歌と、ダンス。
TIMES(平澤さん、パクさん、新納さん)は扉から出てきて扉の前でしばらく待機。そして希美の歌にコーラスをつけ、終わると去っていきます。
なにかふっきれた希美は思い切りバカなことをしてみたくなり、株で稼いだ300万円を彰に投資することを決める。ただし、これを最後のギャンブルにすること。という条件で。

M25 ギャンブル三昧
全員

希美の300万円を元手にありとあらゆるギャンブルをする彰。
希美と彰以外の全員はそれぞれデザインが違った赤い衣裳を着て登場、これがちょっと変わった燕尾風ジャージなのです。平澤さんは長袖でしたが、他の人は半袖だったりノースリーブだったりいろいろでした。そしてひとりづつ違ったデザインの赤い帽子をかぶり、ラップに乗せて歌い踊ります。帽子は、平澤さんはキャップ、成瀬さんがニット帽だったのは覚えてるんですが、パクさんと新納さんはどうだったっけ。つばのある帽子だったような?
ここのダンスが…すっごくかっこいい!!一瞬も見逃したらもったいない!と思うくらいかっこいいのです。。センターに台を集めて「お立ち台」状態で、順番にひとりづつその台に立って歌い、その周りでTIMESが歌い踊るのですが、平澤さんひとりが台の右側の前で踊って、他の3人が左側と後ろって感じ。もちろん他のみなさんも視界には入ってましたが、結局のところ平澤さんひとりにフォーカス状態…でした。何回観ても結局平澤さんしかちゃんと観れなかった。。。かっこよかったなぁ。

M26 哀しきミス再婚(リプライズ)
希美

負けに負け、最後のギャンブルの場は競馬場。赤い衣裳のTIMESは競馬場にいる客として、扉の向こうを行ったり来たりするのが見えています。
最後の100万円を永遠の負け馬に賭け、これでギャンブルをやめられそうだと彰は言います。300万円あっと言う間だった。気持ちよかった。思いっきり金にしかえしをしてやったような気分になったという。そんな彰を見ながら希美はなぜか晴れ晴れとした気持ちで、心の垢がとれたかのよう。
希美は歌いますが、キム、後藤とのときとは同じ歌でも違う雰囲気の歌となっています。
さあ、そうこうしているうちにレースが始まる。
本命の馬が行くかと誰もが思っているとき、今まで一度も勝ったことのない「ホワイトナイト」が途中からぐんぐんととばしてくる。そして予想を裏切り、その「ホワイトナイト」が勝ったのだった。
レースが終わって、呆然と「来ちゃいました…」という彰に「あのホワイトナイトに賭けてたの!?」と驚く希美。
「ビギナーズラックです!!」
盛り上がる音楽とともに歓声をあげ、喜び合う二人。

うす暗い中、礼子と俊介がお店の準備をしている。なんだか二人の様子がいままでと違う。礼子がスカートをはいているのを見るのも初めて。あら?ってここで思うのですよね。そこへ、希美が登場。一緒に座っていた礼子が急に立っていってしまって、俊介、なぜか椅子の上でひとりV字バランスをしています(笑)

彰の最後のギャンブルは、オッズ1000倍、99%勝ち目がなかったレースだと言う。彰は100万円分馬券を買って、10億円の配当金を手にしたのだった。希美はというと、元手の300万円を返してもらっただけ。でも、ひとつお願いをした。どうやらキムソン電機の買収に失敗した後藤はそのせいで負債を抱え、首が回らなくなったらしい。希美は彰に頼んで、株をひきとるという形で3億円、ゲットコーポレーションを援助してもらったのだ。そして大株主となった彰に仲介してもらって、キムと後藤が今晩食事をすることになったというのである。キムソン電機とゲットコーポレーションが業務提携で利益をあげて、株の配当があがれば大株主の彰にとっても万々歳。

希美は希美で、3人のそれぞれ孤独と問題を抱えた男達に関わり、彼らの問題を解決する手助けをしたいと思ったとき、自分の存在、自分の仕事の意義にあらためて気づいた。
だから、仕事をがんばる。と、礼子に宣言する希美。
じゃ、再婚はもうしないの?と礼子に問われ、「そんなことないわよ。いつだって再婚するつもりよ!」
それじゃ「永遠のミス再婚」に改名しなきゃねと憎まれ口をたたく礼子。
希美に「あなただって人のことは言えないでしょう」と返された礼子だが、ちょっと今までとは様子が違って、「それがさ…」と言葉を濁しつつ、奥のほうへ合図をするのであった。

そこへ現れた俊介。希美に対して「疲れた心と体を癒す暖かい食事を用意してお待ちしていますよ。おねえさん!
おねえさん?あなたにおねえさんと言われる筋合いは…はっ、まさか!!
なんと、俊介と礼子はいつのまにかカップルになっていたのであった。
俊介は、希美に「愛してみれば」と語りかける礼子を見て、ぐぐっと来たのかな?
水と油の性格の二人だけど、卵の黄身を加えると水と油はいいぐあいに混ざり合っておいしいマヨネーズになるように、なんだかうまくいってしまったようですね(笑)

「いつまでもあると思うな旬の時期」をワンフレーズ二人で歌い踊り、最後には礼子が俊介を抱えて去っていきます。ここ笑えるのよね〜。

一人になった希美の元へ、それぞれの扉をあけて3人のコックさんが訪れます。TIMESなのよね?この人達も。
3人、それぞれワンフレーズづつ歌いつつ登場。歌い終わったあと、希美のそばに来て、それぞれ手にした料理を希美に示します。
左側の扉をあけて登場した最初の人(パクさん)が手にした料理は「カブのキムチチゲ」、センターの扉から現れた2番目の人(平澤さん)は「オニオンリング・ウィーン(うぃ〜ん)風味」、右側の扉から現れた最後の人(安崎さん)は「馬肉のホワイトソース煮」
それぞれ、キム、後藤、彰の面影を持つコックさんたち。それに気づいた希美が「あっ…待って…」と追いかける間もなく、通り過ぎていきます。希美の心にそれぞれ影響を与えた3人の男達。

あなたの開ける扉は見つかった?
扉の向こうが暗い闇でも…あなたが輝けば明るくなる。
そんなメッセージを残して。

M27 マイライフ
全員


希美の独白。
偶然と必然の境界線ってどこだろう。全ての出来事には偶然なんてないのかもしれない。あの日、一度も勝ったことがなかった永遠の負け馬が目の前で1着でゴールしたのも、彰が10億円をもうけたのも、今自分が一人でいるのも、全て起こるべくして起こった、意味があることなんだと。今の自分を創ったのも全ては自分が歩いてきた道。自分で全て選んで生きてきた結果。そう思うと、人と比べてくよくよすることなんかない、けっこう私もやるじゃない。そう思えた。
自分をまるごと受け入れて、前を向いて生きていこう。当分は「ミス再婚」のままで。
希美のソロ「マイライフ」。目の前に開いた扉の、光に満ちた扉の向こうへ出て行く希美。

関係ない話なんだけど、去年観た映画の台詞で心に残った言葉がありました。
「許しとは心の部屋をひとつあけること」
この舞台を何度か観ているうちに、この言葉が思い起こされてきました。その映画は全然違う内容なんだけどね。どうしてかな。「扉」が象徴的に使われていたからだろうか。

TIMESが順番に出てきて歌い継ぎます。「マイライフ」の2番の歌詞。パクさん、平澤さん、安崎さん、新納さん、成瀬さん、そして最後に香寿さん。
全員のコーラスとなります。
受け入れてみよう 自分が生きた時間 マイ・ライフ 心の窓開けて
客席からは手拍子が起こります。

カーテンコール。
いったん全員去りますが、TIMESのみなさんはそれぞれ役の衣裳に着替えてあらためて登場します。ここの音楽はギャンブル三昧から始まってメドレーになってました。俊介(新納さん)、礼子(成瀬さん)、キム(パクさん)、後藤(平澤さん)、彰(安崎さん)の順に現れ、センターで挨拶。最後に、希美(香寿さん)。そして全員で「マイライフ」の合唱。客席は手拍子。バンドのみなさんをお呼びして紹介し、そして拍手喝采の中、幕は下りるのでした。楽しかったねと明るい、前向きな気分で劇場を出ることができるいいステージでした。

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キャスト別感想
東京公演特別カーテンコール/千秋楽
広島公演
大阪公演




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